内容説明
公益の実現か、権力の乱用か。文字も読めない社会的弱者の権利を守り、裁判所みずから正義を届けるべくはじまった公益訴訟。インド経済の急速な発展のもと、司法の恣意的利用をもひきおこしたその両義的性格を鋭くとらえ、南アジア法の最大の特徴にせまるとともに、政治の司法化をめぐる世界的潮流をも指し示す。
目次
岐路に立つ公益訴訟という試み
第1部 インド(開発政策と司法積極主義の変遷;公益訴訟の展開―その光と陰;公益訴訟とはなにか―伝統的訴訟モデルとの相違;公益訴訟を可能にする諸要因―制度変容のダイナミズム;公益訴訟と上位裁判所裁判官の任命方法―政権と司法の綱引き)
第2部 他の南アジア諸国(パキスタンにおける公益訴訟の展開―軍政と民政の反復と司法;バングラデシュにおける公益訴訟の展開―政争に巻き込まれる司法;スリランカとネパールにおける公益訴訟の展開)
公益訴訟の両義性と政治の司法化―南アジアの開発と司法
著者等紹介
佐藤創[サトウハジメ]
1971年生。1997年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。2009年ロンドン大学SOAS経済学研究科博士課程修了、Ph.D.日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員を経て、南山大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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