内容説明
日本人引揚やドイツ人追放をはじめとする戦後人口移動の起源を、ギリシア=トルコの住民交換を画期とする近代国際政治の展開から解明、東西の事例を冷戦やソ連の民族政策もふまえて世界史上に位置づけ、地域や帝国の枠組みをこえた引揚・追放・残留の知られざる関係性を浮かび上がらせ、グローバルな連関を示す。
目次
引揚・追放・残留の国際比較・関係史に向けて
第1部 引揚・追放・残留の国際的起源(引揚・追放・残留と民族マイノリティ問題―戦後東アジアを手がかりに;戦争と民族強制移動―国際平和の処方としての民族移動の歴史;第二次世界大戦後の人口移動―連合国の構想にみるヨーロッパとアジアの連関)
第2部 欧米(フランス植民地帝国崩壊と人の移動―最終局面としてのアルジェリア戦争;ポルトガル帝国の崩壊と引揚―南部アフリカ植民地;難民支援戦略の起源―アメリカによるインドシナ介入)
第3部 日本(性暴力被害者の帰還―「婦女子医療救護」と海港検疫のジェンダー化;引揚者と炭鉱―移動と再移動、定着をめぐって;「引揚エリート」とは誰か―沖縄台湾引揚者の事例から)
第4部 日本帝国圏(帝国後の人の移動と旧宗主国・植民地間の相互作用―日本とヨーロッパの事例の比較から;韓国における戦後人口移動と引揚者の初期定着―戦後日本との比較史の観点からの試論;残留の比較史―日ソ戦後のサハリンと満洲)
国際人口移動の新たな理解のために
著者等紹介
蘭信三[アララギシンゾウ]
上智大学総合グローバル学部教授
川喜田敦子[カワキタアツコ]
中央大学文学部教授
松浦雄介[マツウラユウスケ]
熊本大学大学院人文社会科学研究部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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