内容説明
なぜ日本は「アジア解放の聖戦」という理念を揚げながら、アジア諸国を植民地とし侵略したのか。これまで誰も正視してこなかった松井石根と大亜細亜協会を中心とする汎アジア主義の視角から、「大東亜戦争」への道をトータルに読み解き、新たな歴史像を提示した渾身の力作。
目次
序論 「大東亜戦争」はなぜ起きたのか―汎アジア主義という視角
第1部 アジア主義の源流と展開(アジア主義の源流;戦前日本に見られるアジア主義の三類型;「島国」から「海の帝国」へ―長崎・大連・神戸)
第2部 「大東亜戦争」への転換をもたらした帝国要因(高橋財政下における帝国経済再編と体制間優位競争の始まり―日本帝国における汎アジア主義の政治経済的基盤;汎アジア主義における「インド要因」―高橋財政下の帝国経済再編とディアスポラによる反英の論理;汎アジア主義における「台湾要因」―両岸関係をめぐる日・英中間抗争の政治経済史的背景;汎アジア主義における「朝鮮・大陸要因」(一)―露帝国・ソ連及び中国に対する対抗ネットワークの生成
汎アジア主義における「朝鮮・大陸要因」(二)―「満州国」成立による汎アジア主義の変質)
第3部 松井石根と大亜細亜協会の活動(「大東亜戦争」と大亜細亜協会及び松井石根;日中戦争と松井石根;「イデオロギー・ネットワーク」としての大亜細亜協会;日中戦争の膠着と大亜細亜主義運動の昂揚;日中情報宣伝戦争)
結論 汎アジア主義の結末
著者等紹介
松浦正孝[マツウラマサタカ]
1962年東京都に生まれ、神奈川県で育つ。1985年東京大学法学部卒業。1992年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東京大学法学部附属近代日本法政史料センター助教授、北海道大学公共政策学研究科連携研究部教授などをへて現在、立教大学法学部教授、北海道大学名誉教授、博士(法学、東京大学)。著書に『日中戦争期における経済と政治』(東京大学出版会、1995年、吉田茂賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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