内容説明
「食料帝国」とは何か。牛肉、明太子、ビールなど、帝国による「食」の再編は日韓の食文化を大きく変えた。収奪論をこえて、帝国のフードシステムの歴史的意義をはじめてトータルに解明、生産・流通から植民地住民の身体に与えた影響まで、統治にはたした「食」の決定的な役割を浮かび上がらせる。
目次
食料帝国と朝鮮
第1部 在来から輸出へ(帝国の朝鮮米―“colonizing the rice”;帝国の中の「健康な」朝鮮牛―畜産・移出・防疫;海を渡る紅蔘と三井物産―独占と財政)
第2部 滋養と新味の交流(「文明的滋養」の渡来と普及―牛乳の生産と消費;朝鮮の「苹果戦」―西洋りんごの栽培と商品化;明太子と帝国―味の交流)
第3部 飲酒と喫煙(焼酎業の再調合―産業化と大衆化;麦酒を飲む植民地―舶来と造酒;白い煙の朝鮮と帝国―煙草と専売)
食料帝国と戦後フードシステム
著者等紹介
林采成[イムチェソン]
1969年韓国・ソウル市に生まれる。1995年ソウル大学校農業経済学研究科修士課程修了。2002年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。2004年韓国培材大学校外国語大学専任講師。同助教授、ソウル大学校日本研究所助教授等をへて、現在、立教大学経済学部教授、博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kawasaki
3
ソフトな食文化の本のようなタイトルと装丁だけれども、中身は統計グラフが頻出するガチ経済史の専門書。先行研究を整理し、一次史料を追いかけて丹念。9つの品目(米・牛・紅蔘・牛乳・りんご・明太子・焼酎・ビール・たばこ)について、生産ー流通―消費の全過程(フードシステム)を視野に納めていること、「米の生産・流通」に偏りがちな植民地朝鮮経済史に対し従来着目されなかった品目を取り上げたことなどが特徴。「日本市場で朝鮮産りんごが青森産と競合」など、思いつかなかった視点からの視野が広がる、面白い研究書。2019/02/25
金宗泰
1
見た目食文化史っぽい本だったので、植民地下の朝鮮人の食生活や文化がわかるかと思って読んでみたけど、グラフとか表がみっちり入ったガチの経済書だった。そっちの方はあまり興味ないので、数字の部分は飛ばし読み。米と流通のみではなくて、酪農、りんご、ビール、辛子明太子など内地発展植民地黒字化のためのあらゆる経済活動の取り組みが書かれてるという面で貴重な一冊。2022/04/10