内容説明
安全保障をめぐる米国との交渉、国連の中国代表権問題、日中国交回復とその裏での対日断交などを台湾側の動向を軸にたどり、「一つの中国」という原則と国際社会での存続とのあいだでなされてきた蒋介石以来の模索を跡づける。今日の台湾外交の真の根源を浮き彫りにする画期的著作。
目次
「現状維持」を生み出すもの
台湾の中華民国外交の特徴
一九五〇年代の米台関係と「現状維持」をめぐるジレンマ
一九六一年の中国代表権問題をめぐる米台関係
政経分離をめぐる日中台関係の展開
一九六〇年代の日華関係における外交と宣伝工作
中華民国の国連脱退とその衝撃
日華断交のとき 一九七二年
外交関係なき「外交」交渉
中華民国外交から台湾外交へ
「現状維持」の再生産と台湾外交の形成
著者等紹介
清水麗[シミズウララ]
1967年生まれ。1998年筑波大学大学院国際政治経済学研究科博士課程単位取得退学。国士舘大学21世紀アジア学部助教授などを経て、東京大学東洋文化研究所特任准教授、博士(国際政治経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
22
戦後の台湾にて「中華民国外交」から「台湾外交」へと変化していく過程で、どのような外交の実践が積み重ねられたのかを詳細に辿っている。1971年の国連からの退出、翌年の日華断交などの国際的孤立から、台湾が中国とは別の存在としての活動空間を確保するための外交の実践を通して、実質的な行動様式の変化、台湾外交(原則→現実)への移行過程が示される。◇台湾海峡の現状維持を生み出す「中間領域」という概念は興味深い。時間的・空間的な緩衝システムとしての中間領域を作り出すのも、ある種の外交術なのであろう。2020/01/31