内容説明
称賛と批判につつまれた「セレブ」とは、現代のメディアが作り上げた虚像なのか、それとも新たな威光の形なのか。王族・政治家から作家・俳優・音楽家まで、近代の始まりとともに生まれた「セレブリティ」の展開をたどり、公共圏が孕むパラドックスを問う。
目次
序章 著名性と近代性
第1章 パリのヴォルテール
第2章 スペクタクルの社会
第3章 最初のメディア革命
第4章 栄光から著名性へ
第5章 有名人の孤独
第6章 著名性の力
第7章 ロマン主義と著名性
終章
著者等紹介
リルティ,アントワーヌ[リルティ,アントワーヌ] [Lilti,Antoine]
1972年生まれ。現在、フランス社会科学高等研究院教授。18世紀の社会史・文化史に現代の社会科学的視点を取り入れた斬新な研究で知られる気鋭の歴史学者。2006‐11年に『アナール』誌の編集長を務めた
松村博史[マツムラヒロシ]
1963年生まれ。近畿大学文芸学部教授
井上櫻子[イノウエサクラコ]
1977年生まれ。慶應義塾大学文学部准教授
齋藤山人[サイトウヤマト]
1980年生まれ。日本学術振興会特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おっとー
8
タイトルが紛らわしいけど、本書のテーマは「富裕層」ではなく「セレブリテ=著名性」の誕生。換言すれば「バズる」の歴史。今となってはTwitterやらインスタやらで当たり前となったバズることと炎上すること。SNSの普及による近年の現象と思われがちだが、歴史を紐解くとヴォルテールもマリーアントワネットもルソーもワシントンも、様々なメディアを通じて著名人となり、そしてその著名性の弊害に悩まされた。振舞いが美化されたと思えば、私生活の堕落が一気に糾弾される。著名性の歴史は民衆の醜悪さの歴史でもある。2023/05/21
ぷほは
3
19世紀以前のフランスについてはずいぶんお勉強になったし簡潔でスイスイいけたのだが、平板な印象。最初はなぜ18世紀をこんなに分かりやすく書けるんだろう、という疑問だった。要するに現代の(著名性の)起源を18世紀(の著名性)に求めるという主題なのに、18世紀中葉から記述が始まるため考古学的切断がなく、同じエピステーメの圏域を最後まで出ないので、アナクロニズムというよりウロボロスの円環なんである。『性の歴史』1章とかキットラー『GFT』のような、何処に連れて行ってくれるのか分からないスリリングさが欲しかった。2019/03/03
takao
2
メディアの出現でもあるのかな2024/01/10