内容説明
地域の信仰を背景に各地を結び付け、足利政権の全国支配の鍵ともなった「夷中」の五山僧の決定的役割を浮かび上がらせて、中央偏重の五山制理解を一新、五山文学も手がかりに、列島社会が内包していた異国的世界をも展望し、新たな中世史像を描き出す。
目次
五山僧の忘却と再発見の試み
第1部 足利政権と五山僧(叢林と夷中―五山僧の列島散在;足利政権の坐公文発給と政治統合―赦し合う政権と檀越たち;関東公帖と夷中の五山僧―赦し合う人脈の展開;戦国期足利政権の公帖発給と「武士」の編成)
第2部 夷中の檀越と五山僧(鎮魂の強制から信仰の統合へ―石見安国寺の諸山禅院への推移;五山僧をめぐる師弟関係と師檀関係―諸地域の十方院について;地方諸山禅院の無名檀越たち―備中宝福寺を事例として;戦国期在地勢力の五山文学受容―尾張知多半島域を事例として;居士大姉仏教と五山文学―尾張・三河の諸山と五山僧)
第3部 五山僧の思想史的位置(夷中考―列島社会と五山文学;五山僧の栄西認識;南禅寺住持論―列島史のなかの五山僧とキリシタン)
列島史と日本史のはざまで
著者等紹介
斎藤夏来[サイトウナツキ]
1969年福井県生まれ、愛知県育ち。1999年名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。岡山大学大学院教育学研究科教授等を経て、名古屋大学大学院人文学研究科教授、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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