内容説明
人・モノ・情報が行き交う。世界史上、空前のレベルで展開したユーラシアを貫く「知」の交流。歴史・天文・医学・農学などの諸学振興からラシードゥッディーンの翻訳事業まで、モンゴル帝国による巨大な事績を、漢籍やペルシア語古写本など多言語史料により描き出す記念碑的労作。
目次
第4部 ユーラシア東西の文化交流(移刺楚才『西遊録』とその周辺;フレグ大王と中国学―常徳の旅行記より;モンゴル王族と漢児の技術主義集団;『元典章』が語るフレグ・ウルスの重大事変;ユーラシア東西における度量衡統一の試み;ジャライル朝の金宝令旨より)
第5部 ラシードゥッディーンの翻訳事業(ラシードゥッディーンが語る南宋接収;ラシードゥッディーンの農書に見える中国情報;Tanks ̄uq n ̄amahの『脈訣』原本を尋ねて―モンゴル時代の書物の旅;Tanks ̄uq n ̄amahの「序文」抄訳)
著者等紹介
宮紀子[ミヤノリコ]
1972年生、徳島県出身。1999年京都大学文学研究科博士課程単位取得退学。2009年日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞。京都大学人文科学研究所助教、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
これは自分にはハードルが高すぎた。この本は多言語の古文書研究者や、少なくとも『元史』『元典章』などの漢籍の研究に携わっている専門家向けに書かれたものであって、自分のような素人が安易に手を出してはならない作品だった。よって、感想やコメント云々という次元ではないというのが正直なところ。それでもあえて印象に残った点を上げるとすれば、研究テーマの領域の広闊さと、習得を要する言語の多さなどに著者がどのように取り組んでいるのか、といった点。多くの研究者が怯んで立ち入れないような領域に正面から挑んでいる。2019/04/06