内容説明
縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制や消費の動向からトータルにとらえ、その等身大の姿を浮き彫りにする。日本経済論の盲点に迫った初の通史。
目次
序章 存続可能性をかけて
第1章 パチンコ産業の胎動―縁日娯楽の事業化への道
第2章 パチンコ機械メーカーの組織化―なぜ特許プールは成立したのか
第3章 パチンコ機械市場における競争構造―促された開発競争
第4章 パチンコ産業の巨大市場化
第5章 パチンコホールにおける大規模経営の出現
補論 パチンコと在日韓国・朝鮮人
終章 ブラックボックス化されてきた産業
著者等紹介
韓載香[ハンジェヒャン]
1971年韓国・ソウル市に生まれる。1999年京都大学経済学部卒業。2001年京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。2004年東京大学大学院経済学研究科後期博士課程修了。北海道大学大学院経済学研究院准教授。主著:『「在日企業」の産業経済史』(名古屋大学出版会、2010年、中小企業研究奨励賞、企業家研究フォーラム賞、政治経済学・経済史学会賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
27
ななめ読みですが、完全な学術書です。その歴史や規制の変遷などが詳細に分析されており、ある意味貴重な本。戦後、大衆の娯楽として普及し、ピーク時には30兆円をして超える市場規模をもったパチンコ産業。今は20兆円規模まで落ち込んだといいますが、いやいやまだ国民的娯楽です。たしかお隣の韓国はパチンコをなくす代わりにカジノを導入しました。日本もカジノ導入が本格化してますが、パチンコとどう共存していくのか、注目していきたい。2018/06/08
takao
3
○主テーマ:パチンコ産業が発展してきた軌跡 ○オリジナリティ:先行書籍は視点が著しく偏っている。 ○視点:地下経済から脱皮できた変化に焦点を当てることによってパチンコ産業の発展のプロセスを検証する。脱税問題・暴力団の資金源などの陰の部分。巨大市場へと至る過程についての経済の論理に即した説明 ○意義:パチンコの日常性を外国との比較。規制のなかでの巨大産業化のダイナミズム ○産業の特徴:規制産業(行政及びプレイヤー自らのルール)。パチンコ機械の開発リスクが高い。 2019/12/14
maqiso
2
パチンコは機械化と店舗の出現によって産業となったが、社会の受容や規制が時代によって変わるために不安定に発展した。射幸性が強いために技術革新とブームと規制とが繰り返され、特許プールによる制限付きの競争が生じたというのが面白い。時系列だが企業側から見ているので、カバーできていないところもある。2020/01/17
iMas
1
パチンコ業界の裏側も知れるのかと思いましたが、タイトル通りのパチンコの産業史を統計値も駆使して開設した論文的な本でした。 自分自身、パチンコをやらないので、身近なこととして読まなかったのですが、パチンコ産業はかなり特殊なようです。政府の規制、カルテルとも呼べる業界の規制があり、パチンコの勃興期はインナーサークルにあるメンバーはその果実を享受していたようですが、フィーバー機の発達以後、目覚ましいヒット商品は生まれず、現在は衰退に向かっているように思えました。その姿はまさしく日本の縮図を見ているようでした。 2018/05/20