内容説明
小笠原返還は戦後日米関係の小さなエピソードではない。沖縄の基地問題に影を落としたその実像をアメリカの核戦略の変容を手がかりに解明、非対称な交渉過程がもたらした沖縄問題の知られざる起源を照射する、気鋭の力作。
目次
序章 なぜ小笠原返還交渉を取り上げるのか
第1章 小笠原占領の決定
第2章 父島と硫黄島の米軍基地
第3章 返還交渉を進展させた米国側の要因
第4章 返還をめぐる米国内および日米間交渉
第5章 小笠原核「密約」と沖縄返還交渉
終章 小笠原返還交渉とは何であったのか
著者等紹介
真崎翔[マサキショウ]
1986年愛知県に生まれる。2015年名古屋大学大学院国際開発研究科博士後期課程修了。現在、名古屋大学大学院環境学研究科博士研究員、名古屋外国語大学ほか非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
16
戦後の小笠原返還と沖縄返還をトータルで見る事で、当時の東アジア情勢を背景に日米交渉がどのように推移したのかを明らかにする。米国は小笠原返還後も硫黄島を緊急時の核貯蔵基地として確保する密約を交わし、これを伏線として沖縄返還においても緊急時に核を再搬入する権利を密約で交わした。著者は当時の米国の極東安全保障政策を立体的に浮上させる事に成功している。◆本書を読んだ後では、昨今の北朝鮮によるグアム周辺へのミサイル発射計画には、硫黄島周辺での米国の動きを探る意図もあったのではと勘繰りたくなる。2017/08/20
省事
3
率直に言ってコメントに窮する本。新聞等では好意的な書評が並んでいるが、あまりにも不用意な部分が多く、反面教師的な意味で参考になる。いずれ整理する。2017/05/16