内容説明
中国、インド、北方ユーラシア、アフリカなど、イスラーム世界の海・陸の「境域」情報を伝える『大旅行記』は、まさに記録史料の宝庫と呼ぶにふさわしい。完訳を成し遂げた碩学による新たな到達点。
目次
第1部 イブン・バットゥータ研究のために(イブン・バットゥータの生涯とその時代;『大旅行記』の構成と諸写本;『大旅行記』の研究と真偽性;紀行文学としてのメッカ巡礼記)
第2部 海の境域への旅―イブン・バットゥータの見たインド洋海域世界(インド洋海域世界の隆盛と中国船;マラッカ海峡の港市国家スムトラ・パサイ王国;イブン・バットゥータのマルディヴ諸島訪問;東アフリカ・スワヒリ世界の形成とクルワー王国;アラビア海を結ぶ人の移動と交流)
第3部 陸の境域への旅―ユーラシアとサハラ・スーダーン(アナトリア世界のトルコ・イスラーム化;境域としてのドナウ・デルタとバーバー・サルトゥーク伝承;ブルガール旅行はフィクションか;中央アジアとインドを結ぶヒンドゥー・クシュ越え交通ルート;サハラ砂漠を越えてのイスラーム・ネットワーク拡大)
著者等紹介
家島彦一[ヤジマヒコイチ]
1939年東京に生まれる。1966年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授、早稲田大学教育学研究科特任教授などを経て、東京外国語大学名誉教授、文学博士(慶應義塾大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
15
14世紀前半のイスラーム世界のほぼ全域を遍歴したイブン・バットゥータの『大旅行記』の邦訳を手がけた著者による、同書に関する解説や今後の研究課題などの著述。並行して13·14世紀のイスラーム世界の変遷、交易ネットワークなども論じている。テーマの広大さと同時に、研究の奥深さにも圧倒された。◆『アルカイダから古文書を守った図書館員』の舞台、マリ共和国トンブクトゥが16世紀以降、学術・文化センターとして重要な役割を果たすが、この地域に多種多様な人々が集まり文化活動の中心地となる様子も本書からうかがえる。2018/07/15