内容説明
証券投資をする人びとの誕生。イギリスで、投資はいかにして中流の人びとや労働者層・女性にまでいきわたったのか。政治・社会・文化・経済の幅広い文脈で生じた革新の全体像を、ヨーロッパ・アメリカへの拡大も視野に捉え、投資社会化がもたらした衝撃と、今日まで続くその構造を見事に浮き彫りにした注目作。
目次
第1部 投資社会の政治経済学(国政・都市政治・国際金融―一八世紀中頃のロンドン・シティと公債請負人;七年戦争・公債請負人・党派抗争)
第2部 投資社会の形成(公債請負人の基層―オランダ人貿易商と近世最末期の投資社会の一断面;証券投資をする人びとの社会―投資社会の垂直的拡大と公債の社会化)
第3部 文化と投資社会(投資社会の文化史―公信用・投機・投資;年金・科学・投資社会)
第4部 投資社会の拡大と経済(もうひとつの財政金融革命―社会基盤整備と投資社会;投資社会空間の拡大―アイルランド・ロンドン・ジュネーヴ;投資社会と国際金融;投資社会は何か)
著者等紹介
坂本優一郎[サカモトユウイチロウ]
1970年大阪府に生まれる。2001年大阪大学大学院文学研究科博士課程中退。京都大学人文科学研究所助手を経て、大阪経済大学経済学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むらきち
10
膨大な資料をもとに、18世紀イギリスを中心にして『投資社会』がいかに広がったかのかを紐解く本。現代的に言うなら公債請負人が信託銀行、ジョッパーやコーヒーハウスが取引所、証券ブローカーが証券会社というところで、さらには庶民にも買えるよう大口を小口に切り分けて販売したり、預かって投資する投資信託のようなサービスもあります。流動性も想像した以上に高く、値段もけっこう乱高下。ヘッジファンドのような連中(と、見なされている)がいたり、投資と投機の論争があったりと、思いのほか現代と変わりません。とても面白い本でした。2020/08/16