出版社内容情報
「保健の先生」は苦しい。それはなぜ?養護教諭の「無力さ」の歴史的・社会的な由来を徹底的に探究した力作。
内容説明
「保健の先生」はくるしい。それはなぜ?性暴力にあった生徒の問題に向き合わざるをえなくなった著者が、養護教諭の「無力さ」の由来を徹底的に探究した果てに、たどりついた答えとは。次世代にむけたあり方の再定義へといたる希望の書。
目次
序章 養護教諭という存在を研究する
第1章 「同化」という視点
第2章 職制運動時代の学校看護婦たち―「身分の確立」をめざして
第3章 一九六〇年代の養護教諭―アイデンティティを求めて
第4章 現代の養護教諭―同化をこえて
終章 再び「自己エスノグラフィー」としての総括―養護教諭の再構築にむけて
著者等紹介
すぎむらなおみ[スギムラナオミ]
1965年生。1989年大阪教育大学卒業。私立高等学校勤務をへて愛知県立高等学校に勤務。2001年愛知教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。2009年名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程満期退学。現在、愛知県立高等学校にて養護教諭として働く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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saiikitogohu
3
「学校において「生徒の側に立ちきる」スタンスをとることは容易ではない。それは教員社会からの孤立とほぼ同義であった…生徒との関係が深まり、彼らの問題とされる行動の背景に関する情報が集まれば集まるほど、私はさらに強い葛藤にさいなまれた。生徒を理解してもらおうと話した情報が、生徒指導の場面で生徒を追い込むために用いられるケースが出てきたからだ。生徒から得た情報を生徒にとって有利に使うためには、その生徒に関係する教員の生徒指導上の価値基準や生徒の好悪などを慎重に見極める必要があった。わたしはそれにしばしば」続2019/05/01