内容説明
ポンドはなす術もなく凋落したのか。ユーロダラーの発展と国際金融市場シティの隆盛も視野に、戦後ポンドの役割を再評価、福祉国家化による国内均衡優先へと舵をきったイギリスの政策転換をも捉えて、基軸通貨交代の知られざる意義を描きだす。
目次
序章 ポンドの戦後史
第1章 ポンド残高の累積とブレトン・ウッズ会議―戦後苦境乗り切り構想の挫折
第2章 英米金融協定の締結とイングランド銀行の国有化―戦後ポンド政策の前提条件と執行態勢
第3章 交換性回復の失敗と為替管理再強化―スターリング地域維持とポンド擁護
第4章 1949年のポンド切下げ―ポンド復権を目指して
第5章 ヨーロッパ決済同盟と交換性回復―復権から危機へ
第6章 ユーロダラー市場の発展とシティの復活―ポンドからユーロダラーへ
第7章 1967年切下げとヨーロッパ経済共同体加盟―ポンド政策の動揺・混迷・「収斂」
終章 ポンドの衰退と譲位
著者等紹介
金井雄一[カナイユウイチ]
1949年岐阜県に生まれる。1981年名古屋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。その後、名古屋大学経済学部助手、佐賀大学教育学部助教授、名古屋大学経済学部教授などを経て、名古屋大学大学院経済学研究科教授(経済学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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人生ゴルディアス
6
『ポンドの苦闘』に引き続き本書。大英帝国は第二次大戦以降すっかり落ちぶれ、ポンドも地域通貨のひとつに成り下がってしまった……という流れだが、著者はポンド没落は間違いないにしても、準備通貨の地位をむしろ自ら降りる側面も強かったと、歴史を通じて論証していく。また英国がポンドの譲位を進められた一因に、ユーロダラーの発展によるシティの復権があったためだとする。最初から絵図があったわけではなく、その場その場で対処していく中、今のような金融システムにつながっていく様子がすごく面白かった。2023/07/16
achilles_tortoise
0
イギリスのポンドの凋落に直面した実務家達のお話。ブレトンウッズの闘いと併せて読むと面白い。2015/04/29