内容説明
発展著しいモンゴル帝国史研究の成果をふまえ、高麗王朝の元との宗属関係の実態をかつてない水準で描き出す。「元寇」の性格を規定した元‐高麗関係の基本構造の解明により、またモンゴル帝国の周辺支配の最も緻密な実証例の提示によって、日本史、世界史にも新たな領域を開く画期的労作。
目次
高麗・元関係史研究の意義と課題
1 モンゴル支配層のなかの高麗王家(〓(ふ)馬高麗国王の誕生
高麗王位下とその権益
高麗王家とモンゴル皇族の通婚関係に関する覚書
元朝ケシク制度と高麗王家)
2 相互連絡のインターフェースと高麗・元関係(高麗王とモンゴル官府・官人の往復文書;大元ウルスと高麗仏教;高麗における元の站赤;『賓王録』にみる至元一〇年の遣元高麗使)
3 帝国における王国の存立(事元期高麗における在来王朝体制の保全問題;元における高麗の機能的位置)
著者等紹介
森平雅彦[モリヒラマサヒコ]
1972年生。2002年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在、九州大学大学院人文科学研究院准教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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崩紫サロメ
14
著者の学位論文に加筆・修正したもの。高麗と元の関係を従来の中華冊封体制ではなく、モンゴル帝国独自のあり方をの中で捉え直す。モンゴル時代に体制を温存できたルーム・セルジューク朝やグルジアなどとも比較しつつ、ダルガチ(質子)がケシク(宿衛)としてモンゴルに駐在し、モンゴル皇帝の駙馬となった高麗のあり方を描く。それは従来の中国との冊封関係とは大きく異なり、元の支配の実質制と直接性が目立つものであるとする。学ぶところの多い本であった。2020/09/08
陽香
0
201311302021/08/01