内容説明
近代以降の地政学的変動のなかで、絵画はいかなる役割を背負い、どのような運命に翻弄されてきたのか。浮世絵から極東モダニズム、植民地藝術、現代美術まで、「日本美術」「東洋美術」の揺れ動く輪郭を歴史的に見据えつつ、国境を跨ぐイメージと文化の相互作用を、その接触の臨界に立って考察する。
目次
第1部 内と外からみた日本美術(挿絵の想像力―西洋舶来の書籍情報と徳川日本の視覚文化の変貌;西洋の日本美術像と日本の自画像 ほか)
第2部 東洋美術の越境―インドの岡倉覚三(岡倉覚三と「インド美術」の覚醒―東洋美術史におけるその遺産と忘却;『東洋の理想』と二人の女性―ジョセフィン・マクラウドとシスター・ニヴェディタ ほか)
第3部 極東モダニズムと東洋回帰(『白樺』と同時代の世界的モダニズム;黒田重太郎と京都モダニズム ほか)
第4部 植民地朝鮮と「満洲国」をめぐる藝術(東洋美術のジレンマ―岡倉覚三・柳宗悦・魯迅;古蹟保存の植民地主義と植民地主義の文化遺産―朝鮮総督府の政策と淺川巧とのあいだ ほか)
第5部 文化政策と東西対話(ブエノス・アイレスの雪舟―島崎藤村の国際ペン・クラブ参加;小松清とヴェトナム―仏印進駐期日本の文化政策とその余波 ほか)
著者等紹介
稲賀繁美[イナガシゲミ]
1957年東京生まれ、広島育ち。現在、国際日本文化研究センター教授および総合研究大学院大学文化科学研究科研究科長。東京大学教養学部教養学科卒業。同大学院比較文学比較文化専攻。フランス政府給費留学生としてパリ第1大学に留学。新課程統一博士号をパリ第7大学で取得(1988)。東京大学教養学部助手(1988‐90)、三重大学人文学部助教授(1990‐97)、国際日本文化研究センター助教授(1997‐2004)を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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