内容説明
エネルギー・セキュリティの核心的課題。産業の創始から今日までの初の本格的通史により、外国系と国内系石油会社の対抗をダイナミックに叙述、日本の石油会社の挑戦が挫折し続けた原因を正確に掴みだすとともに、歴史的文脈と今日の変化を踏まえ、たしかな視点でナショナル・フラッグ・オイル・カンパニー創設への途を指し示す。
目次
日本石油産業史の課題
第2次世界大戦以前(産業の創始とナショナル・フラッグ創設の挫折;外国石油会社の日本進出と事業展開;外国石油会社と国内石油会社との関係;日本政府と外国石油会社との関係;戦時統制期の石油確保と外国石油会社との交渉;先駆的な海外事業展開とその帰結)
2 第2次世界大戦以降(GHQの石油政策と消費地精製・外資提携;外資への挑戦とその限界;なぜナショナル・フラッグ・カンパニーは生まれなかったのか;日本石油産業の脆弱性とその克服策;競争力構築をめざす新しい動き)
日本石油産業の国際競争力構築
著者等紹介
橘川武郎[キッカワタケオ]
1951年和歌山県に生まれる。1983年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。1983年青山学院大学経営学部専任講師。その後同助教授、東京大学社会科学研究所助教授・教授を経て、一橋大学大学院商学研究科教授(経済学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
3
日本石油産業の国際競争構築力を応用経営史という分析手法で提言している書です。応用経営史とは、経営史研究を通じて産業・企業発展をダイナミズムを析出し、当該産業等が直面する今日的問題の解決策を展望する手法です。不勉強で初めて聞きました(橘川先生が教鞭をとっておられる東京理科大MOTで講座をききたいですね)。本書の結論は、戦後日本は、国内精製業育成、一定規模の製品輸入業の継続という2つの課題を克服し成果をあげたが、更なる課題はナショナルフラッグカンパニーという強靱なプレイヤーを形成することというものです。首肯。2012/07/08