内容説明
帝国主義と新外交の狭間で生み出された、国際連盟による委任統治制度は、列強がせめぎあう太平洋に何をもたらしたのか。日本が支配した「南洋群島」を軸に、20世紀前半の国際政治と日本の対外政策の展開を鮮明に描き出す。
目次
第1章 國際聯盟の委任統治制度
第2章 南洋群島の取得から委任統治へ 一九〇〇‐三〇
第3章 國際聯盟脱退と南洋群島委任統治の継続 一九三一‐三五
第4章 南洋群島とドイツ植民地回復問題 一九三三‐三九
第5章 ポスト・ワシントン体制の模索と南洋群島 一九三四‐三九
第6章 大東亜共栄圏と南洋群島 一九三九‐四五
第7章 繰り返される歴史 一九四二‐四七―戦後処理と南洋群島
著者等紹介
等松春夫[トウマツハルオ]
1962年米国カリフォルニア州生まれ。筑波大学、早稲田大学大学院を経てオックスフォード大学大学院博士課程修了。1998年オックスフォード大学国際関係学博士(D.Phil.)取得。玉川大学文学部講師、同経営学部助教授・准教授・教授を経て、防衛大学校国際関係学科・総合安全保障研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
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海が島々の生活を外からの干渉から守った時代は去り、誰も見向きもしなかった小さな島々が「海上の道」でつながれ、地政学における戦略上重要な点となった。大国間の権力政治に巻き込まれる最後の地域となった太平洋諸島は、武力による併合が権利の根拠としては受け入れられなくなった時代の恩恵を受ける。しかし、民族自決の原則と征服の権利の妥協の産物としての委任統治制度は、国際社会に主権の空白を生みだし、島々は理想と権力政治のはざまで大国間政治に翻弄されることになる。沖縄のみならず、島との因縁は、日本が島国であるからではない。2017/12/02