出版社内容情報
第33回角川源義賞受賞
内容説明
新たな時代たる中世を形づくった巨大な力とは?唐帝国の衰滅を機に、10世紀から始まる中世社会・王権の形成過程を、政治・宗教文化・社会経済にわたって動態的に描き出し、中世という時代の本質を捉えた画期的労作。
目次
第1部 新たな社会の形成と中世王権(中世王権の創出とその正統性―中世天皇の特質;藤原道長と院政;中世宗教支配秩序の形成;大規模造営の時代)
第2部 中世王権と宗教(日本中世の神観念と国土観;中世国家と仏教;法勝寺創建の歴史的意義―浄土信仰を中心に;“王”の死と葬送―穢と学侶・聖・禅衆;中世神話の創造―長谷寺縁起と南都世界)
第3部 中世王権の財政構造(経費調達制度の形成と展開;造営経費の調達;庄園制と知行国制;中世王権・国家の形成と財政構造)
著者等紹介
上島享[ウエジマススム]
1964年生。1988年京都大学文学部卒業。1993年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、京都府立大学文学部准教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろただでござる
2
源氏物語を理解する糧にするつもりが「日本中世社会」のダークサイドに危うく引き込まれるところだった。具体的な実証を積み重ねている上に論旨が明快でわかりやすく最近読んだ本の中ではピカイチ。宗教の権力への擦り寄る理由や政権の財政事情で権威と権力が分離していく様は「金は力」を如実に表している。厳格な官僚機構から限られた臣下による政務執行になると時間にルーズになり…途中色々あるが、結果「源氏物語」のような夜を舞台とする文学作品を生み出した(そうな)。ウム…「源氏物語」に戻ろう。2015/08/05