内容説明
赤い夕陽と凍てつく大地、森を切り裂く鉄道と疾駆する馬車、特産の大豆と独自の紙幣、大商人と移民、廟会とペストなど、相互のダイナミックな連関を解き明かし、中国本土とは異なる社会システムとその形成過程を初めてトータルに捉えた画期的著作。生態系から経済・政治・宗教まで。
目次
序章 バイコフに捧ぐ
第1部 密林を切り裂く鉄道(タイガの喪失;鉄道・人・集落;凍土を駆ける馬車;タルバガンとペストの流行)
第2部 すべての道は県城へ(県城経済―一九三〇年前後における満洲農村市場の特徴;県流通券;廟に集まる神と人)
第3部 新たな権力構造の創出(国際商品としての満洲大豆;営口―張政権の地方掌握過程;奉天―権力性承認と糧桟)
第4部 比較の視点(山東の小農世界;スキナー定期市論の再検討;中国農村社会論の再検討;森林の消尽と近代空間の形成―樹状組織の出現)