内容説明
ジュネーヴに生まれ自由な共和国市民としての思想と感情を吸収したルソーが、祖国における政治闘争を背景に、自らの政治思想を結晶させた『社会契約論』。その誕生を歴史的コンテキストの中で捉え、人民主権理論に新たな光をあてる。
目次
序章 ジュネーヴ人ルソー
第1章 ジュネーヴ共和国の歴史と国制
第2章 ルソーが見たジュネーヴの内乱―一七三七年
第3章 二つの共和国―ジュネーヴとヴェネツィア
第4章 ルソーの「ジュネーヴ共和国への献辞」
第5章 十八世紀ジュネーヴ市民階級の政治闘争
第6章 『調停決定』の批判的検討―『山からの手紙』
第7章 人民主権の理論構成―『社会契約論』
終章 ジュネーヴ政府の弾圧とルソーの市民権放棄
著者等紹介
川合清隆[カワイキヨタカ]
1940年愛知県に生まれる。1970年名古屋大学文学研究科博士課程単位取得退学。甲南大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bass
1
歴史に疎いと読み通すのは辛い。他方、本旨はルソーが言う「一般意志」の内実と、ルソー=全体主義という誹謗中傷への批判にある。この手の誹謗中傷がラッセルからも伺えるとは寡聞にして知らなかった。読み終えた今から思うと、「あとがき」→第7章をまず読むことで、上記本旨をしっかり念頭に置いてから冒頭に戻ると通読しやすいだろう。そうとは知らず頭から読んだのでかなり苦労した。ロックとルソーの違いを確認し、共和主義の難点の所在を考えつつ、今日のリベラリズムに分け入るにも、本書は必読だろう。2014/07/22