内容説明
総統、労働者、民族共同体をモチーフに「芸術作品」として創造された第三帝国―ナチズムの「政治の美学化」による支配の全体構造と、キッチュと結びつき統合力を発揮していくメカニズムを、歴史社会学的手法によって浮彫りにする。
目次
序章 芸術作品としての国家
第1章 大衆のモニュメント
第2章 民族共同体の祭典
第3章 近代の古典美
第4章 労働者の形態
第5章 親密さの専制
終章 芸術作品の黄昏
著者等紹介
田野大輔[タノダイスケ]
1970年東京都に生まれる。1998年京都大学大学院文学研究科博士後期課程(社会学専攻)研究指導認定退学。大阪経済大学人間科学部准教授、京都大学博士(文学)、歴史社会学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Rico_bosin
3
階級を解体し,人々に民族共同体への参加幻想を持たせるナチズムの支配の特徴は,権威による共同体への参加強制ではなく,民衆に理想型と理想型への自己同一性の享楽を提供することで成立していたということだろうか。ドイツ民族の理想の肉体の具現者としてのオリンピック選手や民衆から出て民衆のなかにとどまっている民衆に親密な存在としてのヒトラーなどの理想型。生前から自分の銅像を制作させ,専制権力を誇示したスターリンと,存命指導者のモニュメント制作に反対し,謙虚と質朴さを強調したヒトラーの在り方の相違の考察にも唸らされた。2014/03/14
たぬき
0
義務としてのニュルンベルク2009/09/23