内容説明
現代イスラーム世界の成立と展開、激動の現在と今後の展望を、国際社会との関係の中、思想と政治・社会・経済の動態的連関を軸に捉え、イスラーム復興が今日の世界にもたらした巨大な運動の全体像を描ききった画期的労作。
目次
二一世紀のイスラーム世界研究へ
1 イスラーム世界の原像と現代
2 「西洋の衝撃」からイスラーム復興運動へ
3 現代における中東政治の動態
4 イスラーム復興の新地平
5 今日のイスラーム世界の眺望
著者等紹介
小杉泰[コスギヤスシ]
1953年北海道に生まれる。1983年エジプト国立アズハル大学イスラーム学部卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授、法学博士(京都大学)。著書、『現代中東とイスラーム政治』(昭和堂、1994年、サントリー学芸賞)、『岩波イスラーム辞典』(共編著、岩波書店、2002年、毎日出版文化賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ドウ
2
余りに分厚く、惹かれない章も多かったので、序章、3,5,10,17,21章を読んだ。ムスリム同胞団について通史的にまとまっている10,21はまあまあ。残りの章は、ウラマーから見た現代中東(イスラーム世界)なので、イスラーム法学をやっている方々には有用かもしれません。本人が熱弁するほどには、地域研究に何らかの貢献をするような類の内容ではなかった。パラダイムシフトが起こらなければ。2016/11/24
Kenji Suzuya
1
著者の既発表論文集であり、テーマは思想、政治、経済と多岐にわたる。筆者は「イスラーム世界」を、理念と現実の境目に相互作用によって生まれた実際の社会であるとして、その実在を記している。しかし、ここでいう「現実」と「実際の社会」との違いとは何なのか。「実際の社会」とはそもそも現実の一部ではないのか。筆者の言う「現実」は地形など物理的なものを指しており、記述内で「現実」という語が多義的に用いられている。結局「イスラーム世界」とやらの実在については明確に示されていないと言わなければならない。2015/02/06