出版社内容情報
波瀾万丈、奇想天外、痛快無比！ 本書は、爛熟するルネッサンスの想像力が
生んだ驚嘆の一大「ベストセラー」作品であり、悲劇的でありつつもコミカルで、
抒情的でありながらも勇壮な――すべての要素をまとめ上げ、当時のヨーロッパ文学
を完成の極致にまで高めた――めくるめく恋と冒険の物語である。「アリオストの叙
事詩は、あらゆる種類の、多様で、豊かな美に満ちており、全編をすっかり読み終え
たあと、またすぐに読み返したいと思うほどだ」（ヴォルテール）。
≪第11回ピーコ・デッラ・ミランドラ賞受賞≫
目次：
[上] 訳者まえがき／第一歌～第二十三歌／訳注
[下] 第二十四歌～第四十六歌／訳注／訳者あとがき／索引
内容説明
爛熟するルネッサンスの想像力が生んだ驚嘆の一大叙事詩！悲劇的でありつつもコミカルで、抒情的でありながらも勇壮な、―すべての要素をまとめ上げ、ヨーロッパ文学を完成の極致にまで高めた、めくるめく恋と冒険の物語。
著者等紹介
脇功［ワキイサオ］
１９３６年生まれ。１９６４年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、プール学院大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
33
「16世紀の一大ベストセラー」というのもうなずける面白さ。物語は、誰にも靡かない美姫アンジェリカを巡る騎士たちの争い、異教徒対キリスト教徒のパリ攻防戦、ルッジェーロとブラダマンテの恋などを中心に進んでいきます。群像劇に近い印象で、騎士たちは思い人を追ったり、援軍を要請しにいったして各地へ散らばり、世界各地で恋人たちを助けたり、魔女にたぶらかされたり、怪物を退治したりという物語が生き生きと展開されます。アンジェリカへの恋に破れたオルランドが狂乱して上巻終了。各所に散らばった騎士たちの行方を気にしつつ下巻へ。2016/07/07
syaori
30
月まで赴く騎士道物語。下巻でも物語はパリ攻防戦に、敵方の首都の攻略にと、東の果てから西の果て、さらには地獄から天空に浮かぶ月にまで縦横無尽に駆け巡ります。もちろん騎士道物語の華、武勲とロマンスもたっぷり。あちらこちらに散らばったエピソードはテンポよく切り替わり、異教の騎士もキリスト教の騎士も詩人の「天翔ける想像力」の下、恋に決闘に戦争にと生き生きと駆け回るこの作品は、予想どおり大団円を迎えます。これを予定調和と言うなかれ。訳者によるとこの作品には世界の「調和」を願った詩人の思いが込められているのですから。2016/07/11
きりぱい
7
これを頼んだら分厚い上下巻が来て思わずのけぞり、1冊だと思ったのに2冊だったのねと叙事詩を前にひるんだのだけど、「さあて、お立会い！」の口上のようなノリで、意外にも流れるように読める面白さ。オルランドとアンジェリカ、ブラダマンテとルッジェーロ、他にもあまたの騎士や姫、魔女までも恋し恋され縦横に絡み合い、移ろいやすい男心と女心はどう決着がつくのか、全編情欲、じゃなくて愛に彩られた冒険のファンタジー長編。気付けばオルランド影薄く、見せ場はルッジェーロの怒涛のラスト！思わぬ愉快さに読んだ感たっぷり。2010/10/26
tieckP（ティークP）
4
再読ではなくて下巻読了、ページ数的にはこれで合う。上巻の方がやや面白かったが下巻もやはり読まされる。月に行くくだりは、別の叙事詩の地獄譚にも勝って厳かだ。少し苦手だったのは、主人公ルッジェーロがやたら徳を称賛されるわりに困ったちゃんであること。最後は大団円ながら、恋人をほったらかしては泣かせてばかりの鈍感兄ちゃんである。作中挿話は玉石混淆で、騎士たちが活躍する本筋が圧倒的に面白い。一騎打ちでは、盾を捨てて両手で相手の頭に剣を振り下ろすと死亡フラグで、相手は一瞬気を失うものの、反撃にて勝利を収めること数多。2014/10/01
tieckP（ティークP）
4
上下巻だがセット売りで一冊扱いらしい。上巻だけ読んだところで下巻が借りられていて中断。とにかく、アリオスト以前の偉大な作品のいいとこ取り。騎士物語が基本ながら、ホメロスとウェルギリウスとダンテと聖書からエピソードを上手く翻案している。仰々しいまでの比喩もすごい。ボッカチオに匹敵する下世話さも備えている。個人的には騎士をあなどって群衆が大挙したあげく百人単位で返り討ちに遭うタイプのエピソードのほら話感が好き。騎士はたいてい最初は槍を構えているが、リアルにも数人で槍が折れる、のに名剣は幾らでも切れるのである。2014/09/03
