出版社内容情報
明治維新以降1000万人以上の犠牲者を出すという苛酷な現実の一方で、『不如
歸』に代表される小説等に描かれ、「上流」「天才」「美人」といった甘美な
イメージを喚起した結核という独特な病の、近代日本における文化的位相を、
史資料の博捜によって描き出した力作。毎日出版文化賞受賞。
内容説明
「女工哀史」『不如帰』からサナトリウムの終焉まで。明治維新以降、犠牲者一千万以上という苛酷な現実の一方で、甘美なイメージを喚起した独特な病の文化的位相を解明する。
目次
第1部 結核をめぐる社会と個人(殖産興業と女工哀史;鴎外・コッホ・肺病)
第2部 結核のロマン化と非ロマン化(肺病のロマン化―『不如帰』とその系譜;子規と肺病患者たち)
第3部 結核と医学(肺病・サナトリウム・転地療養;医学書・療養書と結核予防運動)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
強粘結炭
1
ロマン主義のところを拾い読み。2016/07/28
ホンドテン
0
図書館で。「風立ちぬ」の結核表現について思うところがあり・・・。まず指摘される結核が女工哀歌に代表されるように集約的労働と期を一にして蔓延した近代の病だという事実に暗澹とした。サナトリウム文学などその上澄みにすぎない・・・その点で鴎外の欺瞞的振る舞いは文学を凌駕した迫力がある。まぁ啄木の最期の病態など文学にできないわな、眼球へのツベルクリン注射とか。2013/09/09
ローリングエルボー
0
リサーチのすぐれた本。2018/03/21