出版社内容情報
ドイツ観念論がカントを継承したとする従来の理解を斥け,その方法論を受け継ぎ,哲学と科学の接点を見出した新たな系譜を発掘する。
内容説明
かつて思想界をリードしたドイツ哲学で、「ドイツ観念論」を正統な後継者とする理解は、今日見直しを迫られている。フリース・ショーペンハウアーらが示したカント後における「もう一つの」(ハーバーマス)哲学史の系譜を明らかにする。
目次
はじめに なぜ19世紀ドイツ哲学史が問い直されなければならないのか
序論 なぜフリースの思想の再構成から始める必要があるのか
第1章 批判主義の徹底化による哲学方法論の主題化―J.F.フリースの哲学
第2章 批判主義による哲学方法論に立脚した意志形而上学の展開―ショーペンハウアー哲学の再読
第3章 批判主義による哲学方法論の継承と発展―フリース学派と新フリース学派の成立と展開
結語に代えて
著者等紹介
太田匡洋[オオタタダヒロ]
1990年京都府生まれ。2020年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(早稲田大学文学学術院)、大阪体育大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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田蛙澄
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正直フリースについて全然知らなかったので、知れてよかった。特に哲学的認識が理性によって既に知られてるけど、悟性による抽象と呈示によってはじめて反省的に意識されるという方法論は、論理学の定理が直観的に分かっていることと、それの証明による呈示とパラレルな気もする。 ショーペンハウアーの意志の導出が意識の抽象による内在的なものだったという点は非常に目から鱗だった。想像力の同情と意志の否定の媒介性も興味深かった。 ネルゾンの計算と倫理における分析の連続性が、抽象の実例として非常に腑に落ちた。2024/03/08