出版社内容情報
激動の環境に成る森林、乾燥地林。長く軽視されてきたその重要性に焦点を当て、ユニークな生態や管理の課題、砂漠化の危機を明らかに
内容説明
頻発する干ばつに砂嵐。荒廃したイメージが強い乾燥地だが、そんな環境に成立する「森林」がある。地下60mに根を伸ばし地下水を利用したり、霧を巧みにトラップしたりと、ユニークな戦略を凝らして生きる乾燥地林は、世界人口の3割以上にのぼる乾燥地住民の生活に深く結びついてきた。しかし、その生態が正確に把握されていないため、近年の急激な劣化・消失の危機感も、適切な森林管理のためのガイドラインも共有されていない。乾燥地林の実態を知り、地球規模の砂漠化対策を考える必読書。
目次
第1章 森林と乾燥地(乾燥地とはどんなところ;樹木も森林も乾燥と戦っている;乾燥地林とは何か;乾燥地林の植生管理)
第2章 乾燥地林が持つ機能(資源を生産する;環境を整える;環境を保全する;乾燥地の木の文化)
第3章 乾燥地の利用と課題(林業・牧畜・農業のための乾燥地林;砂漠化;乾燥地林の劣化が止まらない;管理のための課題と対策)
第4章 乾燥地林の修復と造成(乾燥地林の造成に特有の要因;植林と保育の技術;防風林;ガイドなき道をどう進むか)
著者等紹介
吉川賢[ヨシカワケン]
岡山大学名誉教授。1949年奈良県に生まれる。1981年京都大学大学院農学研究科博士課程修了(農学博士)。高知大学農学部講師、岡山大学農学部助教授、教授、同大学大学院環境科学研究科教授、研究科長を歴任。2015年定年退職の後、日本沙漠学会会長、岡山大学地域総合研究センター特任教授。日刊工業新聞「技術・科学図書文化賞」優秀賞のほか、内蒙古自治区政府より国際科学技術賞、日本森林学会、日本沙漠会より学会賞、日本緑化工学会より功績賞を受賞。専門は樹木生理生態学、とくに乾燥地の樹木のストレス耐性の解明(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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