出版社内容情報
「味方であって味方でない,敵であって敵でない」いわば「我慢の同盟」の実態を,膨大な日タイ民衆間の事件史からあぶり出す快著。
内容説明
軍事同盟の歴史において、太平洋戦争中の日タイ同盟ほど奇妙なものはない。なにしろ、「敗戦国」であったはずのタイは、大したお咎めもないどころか、抗日勢力として認められたのだ。この二面外交についての研究はすでにある。しかし、では「味方であって味方でない」関係が、普通の人々―タイ民衆と現場の日本兵―の間では、どんな様相だったのか?タイ国立公文書館に保存される、日タイ間の事故、騒動、盗み、襲撃といった事件の膨大な記録を一つ一つひもとき、その地理的・時期的分布や背景、処分などを多角的に分析することで、いわば「我慢の同盟」であったその実相を生き生きと描き出す。
目次
序章 日本兵とタイ人の関係
第1章 タイにおける日本軍
第2章 交通事故
第3章 騒動
第4章 窃盗
第5章 強盗・襲撃
第6章 検挙
終章 日タイ同盟の実像
著者等紹介
柿崎一郎[カキザキイチロウ]
横浜市立大学国際教養学部教授。1971年生まれ。1999年、東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。横浜市立大学国際文化学部専任講師、同助教授、同国際総合科学部准教授、同教授を経て、2019年より現職。博士(学術)。第17回大平正芳記念賞(『タイ経済と鉄道 1885~1935年』)、第2回鉄道史学会住田奨励賞(『鉄道と道路の政治経済学 タイの交通政策と商品流通1935~1975年』)、第40回交通図書賞(『都市交通のポリティクス バンコク1886~2012年』)、第30回大同生命地域研究奨励賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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