出版社内容情報
遊女を訴えた『ネアイラ弾劾』のほか、演示弁論2作品、および『序論集』『書簡集』を収める。本邦初完訳の全7冊、待望の完結。
内容説明
本分冊には、演示弁論に分類され「葬礼」と「恋慕」を主題とする2作品、および『序論集』『書簡集』のほか、政敵が妻として迎えた元・遊女に対する公訴弁論を収める。その『ネアイラ弾劾』に見られる「遊女は享楽のために、妾は日々の肉体の慰めのために、妻は嫡出子をなし家中の信頼できる守護のために」は当時のアテナイにおける女性の社会的機能を端的に表現したものとして有名。(全7冊)
目次
第59弁論 ネアイラ弾劾
第60弁論 葬送演説
第61弁論 恋について
序論集
書簡集
著者等紹介
栗原麻子[クリハラアサコ]
大阪大学教授。1968年青森県生まれ。1995年京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学。2000年京都大学博士(文学)。奈良大学講師、大阪大学准教授を経て2017年より現職
吉武純夫[ヨシタケスミオ]
名古屋大学教授。1959年北海道生まれ。1991年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。静修女子大学助教授、名古屋大学助教授、准教授を経て2022年より現職
木曽明子[キソアキコ]
大阪大学名誉教授。1936年満州生まれ。1967年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学教授、北見工業大学教授を経て2002年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
ゴルギアスが民衆を煽動し、プラトンがソフィスト批判を行う際に取り上げた散文的修辞を駆使する弁論を、アリストテレスは理性的な法廷・議会弁論と分離して演示弁論とした。本巻には著者の演示弁論が収録されるが、葬送や愛についての2つの弁論の他に、前巻の著者の作でなくアポロドロス作という説もある弁論(第46弁論)同様、本巻も告発者の彼が遊女ネアイラを弾劾する演示弁論が収録される。一方その真偽にもかかわらず、本巻の文体が物語のように読ませるのは、理性より感情に訴えるこの弁論が後の文学的修辞に発展する基礎だからだろうか。2022/08/01