出版社内容情報
世に知られる神話伝承を当事者らが雑談風に語り合う『神々の対話』、執筆当時の卑俗な日常をリアルに描出してみせる表題作など7篇。
内容説明
神話の当事者らによる雑談風の語らいや、卑俗な日常のリアルな描写など、全七篇。
目次
海の神々の対話―第七十八篇
神々の対話―第七十九篇
遊女たちの対話―第八十篇
愛国者または弟子―第八十二篇
カリデモスまたは美について―第八十三篇
ネロ―第八十四篇
エピグラム―第八十五篇
著者等紹介
内田次信[ウチダツグノブ]
大阪大学名誉教授。京都大学博士(文学)。1952年愛知県生まれ。1979年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。2017年大阪大学教授を経て退職
西井奨[ニシイショウ]
大阪大学講師。1982年京都府生まれ。2011年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。2014年京都大学博士(文学)取得。2018年日本学術振興会特別研究員、大阪大学特任講師を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
哲学的対話にはあらかじめ真理という目的がありそこで終わりになる。一方、本書の神々の対話は神々自身が自分たちの書かれた神話について取り止めのない雑談を繰り広げ、遊女の対話は次々と男たちの名を挙げながら、自らをネットワークのハブに仕立て上げる。作者は対話から終わり=目的を取り除きたいようだ。そうすることで、目的に向かって現実に盲目になった人間たちの足元が見え、さらに人間たちが生きる現実が現れる。作者は神々に神話の批評させ、遊女たちに現実に対する批評を語らせるかのようだ。こうして喜劇的風刺は哲学を格下げする。2022/06/21