出版社内容情報
いまや世界全体の国際移民の数も及ばないほどの人口流動が中国国内で起こっている。多民族の「境界越しの」出逢いは,何を拓くのか?
内容説明
2019年の世界全体の国際移民は2億2700万人、それに対して、中国の国内を移動する流動人口は2億4400万人に及ぶという。改革開放と一帯一路政策のもと、いまや世界中を足しても及ばないほどの人口流動が、中国では起こっている。しかも、戸籍による居住地の固定という、本来人口移動を抑止する制度はそのままに、である。いわば人々の「境界越しの」出逢いが、次なるどのような社会を生み出すのか?定量的には捉えにくい、巨大な国内人口移動の様相に、気鋭の文化人類学者が迫る。
目次
国内移動をいま論じる意味―中国と日本
第1部 移動が生んだコンタクト・ゾーンにおける社会関係とはいかなるものか(あんたがおれの百度だ―珠江デルタの「本地人」と「外地人」;都市を出る人、都市に来る人・戻る人―広東省の地方都市〓尾の事例から;出稼ぎ先は「小さな国連」―浙江省義烏市に暮らすムスリムたち)
第2部 移動は何を広め流行らせているか(移動の危険に対処する呪術―雲南ラフの男たちと出稼ぎ;移動が生み出すトランス・エスニックな子ども服―雲南省から貴州省へ流通するモン/ミャオ族衣装と民族間関係)
第3部 移動によってエスニシティと他者像はいかに再編されているか(出稼ぎに行くのは甲斐性のない人―モンゴル人の移動と生活基盤;「君たちは何をしている人なのか?」―広西三江県におけるマカイ人の定住と地域社会;移りゆく「辺境」イメージ―上海から雲南への「支辺」移民の語りを通して)
「境界越しの邂逅」の持つ可能性
著者等紹介
川口幸大[カワグチユキヒロ]
東北大学大学院文学研究科准教授。1975年生まれ。2007年、東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。国立民族学博物館機関研究員を経て、2010年より現職。博士(文学)
堀江未央[ホリエミオ]
岐阜大学地域科学部助教。1983年生まれ。2015年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。名古屋大学高等研究院S‐YLC特任助教を経て、2020年より現職。博士(地域研究)。第22回国際開発研究大来賞、第8回名古屋大学石田賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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