出版社内容情報
ギリシア・ラテン文学の中でもっともよく読まれ、また後世の文学に限らず、さまざまな芸術にもっとも大きな影響を与えた作品の一つ。
内容説明
ギリシアを中心に、ローマはもちろん、東方由来のものも含め、大小250あまりの「変身」が関わる物語を連ねた大作。神話を題材としながらも、物語構成や人物造形におけるさまざまなレベルでのミスマッチ、また、物語そのものを表現対象とするメタ物語的叙述など、現代的で新鮮な手法が駆使されている。全15巻のうち本分冊には第9~15巻と、全体の固有名詞索引を収録。
著者等紹介
高橋宏幸[タカハシヒロユキ]
京都大学大学院文学研究科教授。1956年千葉県生まれ。1984年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。2010年文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
ギリシャ語がラテン語に変わり、ギリシャの神々がローマの神々の呼び名となって、一つの神話が受け継がれる際に、本書は、ホメロス以来叙事詩を音楽として口ずさんだ6つの韻脚(ヘクサメトロス)の調べをも受け継いだ。音楽は身体のリズムと音韻によって、万物の流転する実在世界を言葉の外で表す。天地創造に始まる本書は、後半人間の歴史であるトロイアの戦争も含みつつも各章を巧みな入れ子状に配しているという。確かに、混沌とした実在を人間の言葉の意味へ変容させる力としての詩のリズムや調子は、翻訳した文字の黙読でも微かに感じられる。2022/06/15
有沢翔治@文芸同人誌配布中
3
ナルキッソス、ミダス王、ピュグマリオン……。ギリシアやローマの変身物語を、天地開闢からトロイア戦争を経てアウグストゥス帝の治世まで語る。時系列順の配列と変身物語であること以外、物語上の接点は薄い。それ故、一つの長編叙事詩よりはいくつもの叙事詩が数珠つなぎのようになっているような印象を受ける。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/51524039.html2022/04/12