出版社内容情報
鍛冶屋と鎚の対話、神が宿るとされる石等、世界各地の多様な「もの」と人間の関係を分析し、「ひと」と「もの」の境界に迫る。
内容説明
日々スマホを使ってチャットをし、乗り物を使って移動し、パソコンを開いて思考する私たち。これらの「もの」は非人間の「もの」なのか、「ひと」の一部なのか、それとも私たち自身がじつは「もの」なのか?鍛冶屋と鎚の対話、将棋ソフトと人間の棋士の相互作用、ひとが「ひとでなし」化されたホロコースト等、世界各地の多様な事例をもとに「もの」と「ひと」の混淆した関係を暴く、斬新な人類社会論。
目次
新たな「もの」の人類学のための序章―脱人間中心主義の可能性と課題
第1部 ひとともののエンタングルメント(ものが生まれ出ずる制作の現場―鉄と道具と私の共同作業;「もの」が創発するとき―真珠養殖の現場における「もの」、環境、人間の複雑系的なエンタングルメント;存在論的相対化―現代将棋における機械と人間)
第2部 もののひと化(絡まりあう生命の森の新参者―ボルネオ島の熱帯雨林とプナン;サヴァンナの存在論―東アフリカ遊牧社会における避難の物質文化;石について―非人工物にして非生き物をどう語るか)
第3部 ひとのもの化(「もの人間」のエスノグラフィ―ラスタからダッワ実践者へ;中国黄土高原に潜勢する“人ならぬ‐もの”の力;“ひとでなし”と“ものでなし”の世界を生きる―回教徒とフェティシスとをめぐって)
第4部 新たなもの概念(数からものを考える―『無限の感知』を参照しつつ;五感によって把握される「もの」―知覚と環境をめぐる人類学的方法試論)
第5部 ものの人類学を超えて―動物研究と哲学からの視線(「人間」と「もの」のはざまで―「動物」から人類学への視点;“もの自体”を巡る哲学と人類学)
著者等紹介
床呂郁哉[トコロイクヤ]
1965年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。学術博士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。専攻:人類学
河合香吏[カワイカオリ]
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。1961年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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