出版社内容情報
トラウマ経験の実態を社会・文化的文脈で理解することを目指すとともに、その解決について実践的な視点から論じている。
内容説明
ユダヤ人ホロコースト、カンボジアの内戦、日本の植民地支配…歴的トラウマは語り伝えられ、次世代へと引き継がれていく。研究者たちはその過程へ飛び込み、語りに耳を傾けた。経験を乗り越えるためのかすかな光に触れた証言者たちの苦闘。全2冊完結。
目次
トラウマを共有する
第1部 語る・聴く(トラウマと歓待―ホロコースト生存者の声を聴くことと当事者性;戦争・紛争体験の語りにおける笑いとユーモア;癒えることのない傷の語りに向き合うこと;恐怖と屈辱の山渓を越えて…―「インドネシアの歴史的トラウマ」と辺境地個人の経験の語り;パレスチナ問題における承認と和解―集合的トラウマをめぐるポリティクス)
第2部 伝える・戸惑う(ナショナルな歴史経験とトラウマ―先住民への謝罪と和解;日本占領下の記憶とトラウマ―インドネシア西カリマンタン州における語りと表象;トラウマの解体に抗して―在日コリアンのアイデンティティ再構築と拡散;自伝的文学から考える加害トラウマ―ジョージ・オーウェルの場合;民主カンプチア時代の記憶と死者―カンボジア北西部村落部の事例から;トラウマ・臨床・和解のプロセス―ジェノサイドを経験したカンボジア人を事例に;化学兵器をめぐる戦争文化―一九一五年以降の展開;コラム 「ランペドゥーサの悲劇」後の苦難)
第3部 感染る・継承する(家族‐国家日本の殖民暴力とトラウマ―脱殖民化と「他人事でなくなること」;原爆・植民地支配・戦後放置―幾重もの「トラウマ」を生きる在韓被爆者;コンバット・ストレスの様相―シェル・ショックから二次トラウマへ;世代横断的トラウマとショアの記憶;サバイバーの子どもたちとホロコースト―ホロコースト博物館展示ガイドへの聞き取り調査から;二次トラウマと感情労働―アウシュヴィッツのガイドたちの語りをめぐって)
著者等紹介
田中雅一[タナカマサカズ]
京都大学人文科学研究所教授、人類学(南アジア)、ジェンダー・セクシュアリティ研究
松嶋健[マツシマタケシ]
広島大学大学院社会科学研究科准教授、文化人類学、医療人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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