ユートピアの記憶と今―映画・都市・ポスト社会主義

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ユートピアの記憶と今―映画・都市・ポスト社会主義

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  • サイズ A5判/ページ数 284p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784814001644
  • NDC分類 234.9
  • Cコード C1036

出版社内容情報

かつての「抑圧的」な社会主義体制に対する強烈な批判と同時に存在する、過去の時代への切実なノスタルジア――「社会主義の記憶」をめぐる現代ポーランドの錯綜した言説を、いかにときほぐすか? 社会主義時代の映画表現と、社会主義建設の象徴とされた製鉄都市ノヴァ・フータをめぐる人々の語りの中に、そのヒントを探る。「ユートピアの記憶」を鍵にポーランドの過去と現在に寄り添うことで、後期近代の矛盾に晒された人々の、失われたものへの追憶と未来への希望をめぐる心の奥底に迫る。

はじめに 社会主義の過去を「掘り返す」

第1章 社会主義の過去を現在において考えるということ
 1 「全体主義」か「古き良き社会主義」か?
 2 第1部への覚え書き
   (1)「全体主義批判」を超えて
   (2)戦後ポーランド小史――「雪どけ」への着目
   (3)映画――「もっとも重要な芸術」
 3 第2部への覚え書き
   (1)ポスト社会主義と後期近代の受苦
   (2)場所と記憶――計画都市における社会主義の記憶とポスト社会主義
 4 ユートピアという視点の導入
   (1)ポスト・ユートピア研究の可能性
   (2)ユートピアからポスト・ユートピアへ
 5 各章の構成と内容

第1部 ポーランドの雪どけと社会的想像力――映像文化を中心に

第2章 ポーランドの「雪どけ」――社会的想像力の変容
 1 「スターリニズム」から
 2 社会主義的近代と「自己」
 3 「雪どけ」――「意味づけられない」領域の発見
 4 「女生徒の日記」――私的な「声」の侵入
 5 「雪どけ」の社会的想像力――「性愛関係」と「少年非行」

第3章 「雪どけ」と性愛の表象――映画『地下水道』を中心に
 1 はじめに――性愛へのまなざし
 2 社会主義リアリズムと映画
   (1)社会主義リアリズムと私的領域――欲望の置き換えと働く女の形象
   (2)ユートピアと性愛
 3 雪どけと性愛関係
   (1)ポーランド派と『地下水道』――大義と性愛
   (2)「大義」と「性愛」をえぐって――観客の反応から
 4 性愛への「まごつき」――「性の解放」の隘路
 5 性愛関係の表象と「ポスト・ユートピア」

第4章 「雪どけ」と非行少年へのまなざし――映画における「ちんぴら」像
 1 はじめに――若者と近代
 2 スターリニズムから「雪どけ」へ
   (1)スターリニズムと若者、「ちんぴら」
   (2)「雪どけ」――「ちんぴら」への新しいまなざし
   (3)ドキュメンタリー映画と「ちんぴら」
 3 ドキュメンタリー映画――非行の社会学的説明
   (1)気をつけろ、ちんぴらだ!
   (2)空白地帯の人々
   (3)二つのまなざしの錯綜
 4 長編映画――『夜の終わり』と『夢遊病者たち』
 5 「雪どけ」から「小康状態」へ

第5章 ドキュメンタリー映画と「現実」――ユートピアとポスト・ユートピア
 1 はじめに
   (1)ドキュメンタリー映画と社会主義のユートピア像
   (2)「構築されたドキュメンタリー」と「想像された現実」の違い
 2 社会主義リアリズムのドキュメンタリー映画(一九四九ー一九五五)
   (1)「生産映画」と社会主義建設のユートピア像
   (2)短編映画『針路、ノヴァ・フータ!』――「新しい製鉄所」とユートピア的想像力
   (3)「優先された現実」は何だったか
 3 「雪どけ」と「黒いシリーズ」(一九五五~)
   (1)「黒いシリーズ」と現実の暴露
   (2)短編映画『居住の場所』――ディストピアとしてのノヴァ・フータ
   (3)「暗部の暴露」とユートピアのゆらぎ
 4 「新たな現実」と創造的な想像力
 5 「雪どけ」とポスト・ユートピア

第2部 ポスト社会主義時代におけるユートピアの記憶――「ユートピア都市」の過去と現在

第6章 社会主義的ユートピアの理想と現実――製鉄都市ノヴァ・フータの歴史から
 1 はじめに――ノヴァ・フータと「社会主義建設」
 2 ノヴァ・フータ概要
 3 「社会主義建設」のプロパガンダと若者
 4 混沌と犯罪の町
 5 近代化と生活レベルの上昇
 6 反体制運動から体制崩壊へ――ユートピアの終わり
 7 ユートピアへの熱望、ユートピアへの幻滅

第7章 ポスト社会主義時代におけるユートピアの記憶――ノヴァ・フータでの調査から
 1 はじめに――ノヴァ・フータの現在
 2 ノヴァ・フータの記憶とポスト社会主義――住民の語りから
   (1)Rさんの語り――社会主義体制と生活の向上
   (2)Mさんの語り――「団地」の暖かなコミュニティ
   (3)Fさんの語り――社会主義体制下の文化振興
 3 記憶と表象――ノヴァ・フータへの錯綜するまなざし
 4 ある映画製作の実践から

終章 新たなユートピア的想像力の復権に向けて
 1 総括――「雪どけ」のポーランドを現在と重ね合わせるという試み
 2 結論――ユートピアから未来へ

参考文献
あとがき
索引

菅原 祥[スガワラ ショウ]
著・文・その他

内容説明

かつての「抑圧的」な社会主義体制に対する強烈な批判と同時に存在する、過去の時代への切実なノスタルジア―「社会主義の記憶」をめぐる現代ポーランドの錯綜した言説を、いかにときほぐすか?社会主義時代の映画表現と、社会主義建設の象徴とされた製鉄都市ノヴァ・フータをめぐる人々の語りの中に、そのヒントを探る。「ユートピアの記憶」を鍵にポーランドの過去と現在に寄り添うことで、後期近代の矛盾に晒された人々の、失われたものへの追憶と未来への希望をめぐる心の奥底に迫る。

目次

社会主義の過去を現在において考えるということ
第1部 ポーランドの雪どけと社会的想像力―映像文化を中心に(ポーランドの「雪どけ」―社会的想像力の変容;「雪どけ」と性愛の表象―映画『地下水道』を中心に;「雪どけ」と非行少年へのまなざし―映画における「ちんぴら」像;ドキュメンタリー映画と「現実」―ユートピアとポスト・ユートピア)
第2部 ポスト社会主義時代におけるユートピアの記憶―「ユートピア都市」の過去と現在(社会主義的ユートピアの理想と現実―製鉄都市ノヴァ・フータの歴史から;ポスト社会主義期におけるユートピアの記憶―ノヴァ・フータでの調査から)
新たなユートピア的想像力の復権に向けて

著者等紹介

菅原祥[スガワラショウ]
京都産業大学現代社会学部講師。1981年生まれ。2005年から2007年まで、ポーランド政府奨学金留学生としてヤギェウォ大学(クラクフ市)に留学。2012年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員(PD)、開智国際大学リベラルアーツ学部講師などを経て、2017年より現職。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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