内容説明
異なる分野の学びから創造力が生まれる!喜多源逸から福井謙一・野依良治へと続く伝統。
目次
プロローグ 喜多源逸の姿を求めて―本書ができるまで
第1章 京都学派の形成―工業化学者・喜多源逸の挑戦
第2章 実験室から工場へ―戦時下の人造石油開発
第3章 繊維化学から高分子化学へ―桜田一郎のたどった道
第4章 燃料化学から量子化学へ―福井謙一が拓いた世界
エピローグ 有機合成化学の系譜―ラウエルから野依良治まで
著者等紹介
古川安[フルカワヤス]
科学史家。日本大学生物資源科学部教授。1948年静岡県生まれ。東京工業大学工学部合成化学科卒業、米国オクラホマ大学大学院博士課程修了、Ph.D。帝人株式会社、横浜商科大学商学部助教授、東京電機大学工学部助教授・同教授を経て現職。化学史学会会長(2011‐2016)。日本科学史学会欧文誌編集委員長(2003‐2007)、Chemical Heritage(米国・化学遺産財団誌)海外編集委員(1993‐2011)、国際科学史技術史科学哲学連合・現代化学史委員会役員(1999‐2015)、徳山科学技術振興財団理事(2017‐)。日本産業技術史学会賞(2001)、化学史学会学術賞(2004)、化学史学会論文賞(2013、2016)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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深窓
2
喜多源逸教授が創り上げた京都帝大工業化学科。基礎を重視しながらも工業化を視野に入れた研究で、先発の東京帝大とは異なる学風を築き、凌駕する実績をあげた。理研や民間とのコネクションを生かした喜多教授の八面六臂な研究コーディネーターぶりは戦前の産学連携を考える上で貴重な事例だと思う。初期の法科大学が挫折した第二帝大にあらずの精神が、工業化学科では発揮されたのではないか。2019/12/11
takao
2
☆福井謙一が京都大学工学部出身でノーベル賞をとったのは、喜多源逸に始まる基礎を重要視する哲学が継承されてきたからこそ。 p.210 福井のやり方は、ごく少数の優れた論文を精選して、一字一句も疎かにせず徹底的に読みこなすことであった。数式もひとつひとつ自分で導きながら納得するまで読んだ。2018/05/13
Kohe
1
日本の科学の黎明から、最先端量子力学が1つの系譜で語られることに感動。当時の一般的な考え方(例えば化学は経験的な学問。今は量子論などから理論が構築されている)が理解できたり、当時化学からは遠い学問を融合させようとする姿勢が伝わり日本の化学の発展に付き合っているようで面白い。化学史という学問に興味が出た。2024/02/18
Yuya
0
「応用をやるなら基礎をやれ」「理論をやるなら実験をやれ」 本書の帯書きを見て、買うことを即決。研究の歴史を学ぶこと。また研究成果だけでなく、研究に至った思想や歴史的背景を学ぶことは、とっても大事であることを痛感することができた1冊。2018/07/16