内容説明
敬虔とは何かをめぐり、その道の知者を自負する人物と交わされる対話『エウテュプロン』。不敬神と若者を堕落させる罪で告発された老哲学者の裁判記録『ソクラテスの弁明』。有罪と死刑の判決を受けて拘禁中の彼が、脱獄をすすめる竹馬の友を相手にその行為の是非について意見を戦わす『クリトン』。ソクラテス裁判を中心に、その前後の師の姿を描いたプラトンの3作品が鮮明な新訳で登場。
目次
エウテュプロン
ソクラテスの弁明
クリトン
著者等紹介
朴一功[パクイルゴン]
大谷大学教授。1953年京都府生まれ。1985年京都大学大学院文学研究科博士課程学修退学。2000年京都大学博士(文学)。2005年甲南女子大学教授を経て現職
西尾浩二[ニシオコウジ]
大谷大学非常勤講師。1971年大阪府生まれ。2003年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。2007年京都大学博士(文学)。2010年大谷大学任期制助教を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒダン
20
ソクラテスやプラトンが神話や信仰についてどのように考えているのかを知りたくて、敬虔について問答する「エウテュプロン」を目当てに読んだ。この三作品と『パイドン』をつなげると裁判から死刑執行までの4部作になる。解説が丁寧で、ギリシア語でちゃんと読まないと見落としがちなことを指摘してくれている。おかげで目的も達成された。プラトンが『国家』で神話の表現に対して善い性質の描写しか認めないと言っていた理由がソクラテスに由来してそうだと分かった。ソクラテスもまた神を個人名で呼ぶのではなく、ただ神としか呼ばなかった。2017/12/06
だいご
8
自分の父を殺人罪で訴えたエウテュプロンとの対話を描いた『エウテュプロン』、不敬神の罪と若者を堕落させる罪により訴えられたソクラテスの裁判での発言の一部始終を描いた『ソクラテスの弁明』、死刑になる前に脱獄を勧める友人クリトンとの対話を描いた『クリトン』の三編を収録。各編のわかりやすい解説も付いている。 「無知の知」や「ただ生きるのではなく、よく生きること」など今に通ずる金言が多数。祖国の中の自分を考えさせられる『クリトン』は特に印象的。脱獄して生きるのではなく、生涯哲学者を貫いたソクラテスにはあっぱれ。2020/04/12
Βουλγαροκτόνος
0
ソクラテスの最期の時が迫る。『パイドン』も読みたくなった。同時に、ソクラテスが演繹に傾きすぎた考えをしているのではないかとも思った。2022/09/08
るたがんだ
0
死の危険よりも善く生きることを貫徹するためには、物事についてよく考えてよく吟味し、謙虚であることが重要だと思った。2018/10/17