出版社内容情報
本邦初はもとより、ルネッサンス以降の西洋でも稀有な、本集成の個人全訳が堂々の完結。最終分冊には、稚児愛詩、諸種の詩律を駆使したエピグラム、算術問題・謎々・神託、さまざまな詩・雑纂、補遺を収める。第15巻に見られる、技巧の限りを尽くした図形詩は、古今東西でその濫觴をなすとともに、詩が耳で聴かれるだけでなく、眼で読まれるようにもなったことを示すものとして注目に値する。(全4冊)
沓掛 良彦[クツカケ ヨシヒコ]
内容説明
知的遊戯の極致と言える図形詩、算術問題・謎々など、往古の人びとの心を映し出す万華鏡。
目次
第12巻 ストラトンの「稚児愛詩集」
第13巻 諸種の詩律を駆使したエピグラム集
第14巻 算術問題集、謎々、神託など
第15巻 さまざまな詩 雑纂
第16巻 プラヌデスの詞華集より補遺として加えられた詩
著者等紹介
沓掛良彦[クツカケヨシヒコ]
東京外国語大学名誉教授。1941年長野県生まれ。1965年早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒業。1971年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。文学博士。大阪市立大学講師、東北大学助教授、東京外国語大学教授を経て2003年退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
5
最終巻にあたる本巻には、古代ギリシア独特の少年愛に関する詩から始まり、様々なエピグラムが収められ、プラヌデス詞華集の補遺で完結する。生涯で受動的時期とされる12〜20歳の少年を年長者の男性が愛するには少年の親が年長者を指導者と認める必要があったこと等、詩の背景にある慣習が見え始めると、神託を授かる人々、その俗化した謎々や産出問題に興じるギリシアの人々が現れ、現世に翻弄されながら酒や自然を讃える人々、風刺や警句を吐く人々の中に、キリスト教徒の祈りも聞こえる。共に生きる古代の生が、孤独な読者の脳裏にふと蘇る。2022/07/11