目次
生態と生業の新たな関係
第1部 外部社会との接触(富者として農村に生きる牧畜民―タンザニア・ルクワ湖畔におけるスクマとワンダの共存;民族の対立と共存のプロセス―タンザニア・キロンベロ谷の事例;コーラナッツがつなぐ森とサバンナの人びと―ガーナ・カカオ生産の裏側で)
第2部 生業構造の変容(農牧複合と土地争い―社会と技術の両アプローチを実践した対立の克服;バナナを基盤とする農耕社会の柔軟性―ウガンダ中部、ガンダの事例から;半乾燥地域の林業を支える火との付きあい方―タンザニア南部、ベナの農村の事例から;平準化機構の功罪―ザンビア・ベンバ社会のピースワーク)
第3部 生態資源と生業(マルーラ酒が守るサバンナの農地林;多様性をうみだす潜在力―カメルーン東南部、熱帯雨林における焼畑を基盤とした農業実践;水資源の活用と環境の再生―小型水力発電をめぐって)
争わないための作法―生業と生態をめぐる潜在力
著者等紹介
重田眞義[シゲタマサヨシ]
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・教授。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了、博士(農学)
伊谷樹一[イタニジュイチ]
京都大学・准教授。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了、博士(農学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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PETE
3
前半は表題通りの内容で、完全農耕民と半農半牧民の間の、土地利用の変化に伴う係争と、相互依存関係を調査した論文が多い。日本での報道が乏しい上に、海外メディアも騒乱を中心に報じがちなアフリカを、全地域一緒くたに見てはならない。 後半は、緑の革命や温暖化問題の視点から否定的に見られがちだった焼畑農耕や、高木を残しながら、強い日差しに弱いカカオのような低木・草本植物を混合栽培するアグロフォレストリーのレポートが中心でこちらも読み応えがあった。2022/11/30
singoito2
3
「本書に描かれたアフリカに生きる人びとには、生態資源を利用する様々な生業を実戦する中で、他者や自然と必要以上に「争わない」ための作法が培われていた」P349。その作法とは、お互いに他者の力を借りなければ生きられないという認識に立った「ケアの倫理」なのだ。このシリーズを読むことで、西欧近代合理主義にドップリつかった聖書の読み方に新たな地平が開けてくる。例えばヤコブがシケムの地を逃げ出した理由(創世記35章)など。2022/01/11
こずえ
0
アフリカの実態を知る上での良書。紛争を起こさないようにかれらがどういうことをしているかそういうことがまとまっている