内容説明
帰国か、滞在か―コロナ禍で突然、判断を迫られた日本人留学生。第1部はその試行錯誤の過程をリアルに書いた体験記、第2部は学生と教員でその時の決断を振り返った座談会、第3部では指導する当事者である教員が人類学的視点からコロナ禍の教育を考える。
目次
第1部 コロナ禍の留学を書く―学生による体験記(日常から非日常へ(スペイン)
帰国をめぐり揺れ動く心(フランス)
パンデミック下の大地震(クロアチア)
自分に配慮する(モンゴル)
間違いだらけの緊急帰国(フィジー共和国)
フィールドワーク先で暮らし続ける(バングラデシュ)
危機の中に価値を見出す(アメリカ)
選択の価値づけかた(キューバ)
日本も安全とは限らない(マレーシア)
「ただしさ」の狭間をさまよう(ケニア・イタリア)
前例のない危機で何を信じるのか(スウェーデン)
第2部 コロナ禍の留学を意味づける―学生と教員による座談会(これからを生きるために「当時の決断」を振り返る)
第3部 コロナ禍の留学から考える―人類学的視点から(学生とともに帰国する―海外フィールドワークからの撤退マニュアル;パンデミックとフィールドワークの安全性;留学は苦難、それは成長―緊急事態における自らの「よそ者」性との向き合い方)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
お抹茶
0
11人の留学生が,パンデミックの始まりから帰国するかどうかを決めるまでの記録を綴る。臨場感があり,葛藤や焦りがダイレクトに伝わる。人類学者の教員による文章も載っている。「明日行こうと思ったところに突然行けなくなって、昨日が最後の日になる。毎日、昨日起こったことが『奇跡』になった」。現地人同士の情報網に住んで数か月程度の外国人が入り込むことは困難で,現地に信用できる友人・知人を持つことが大事。非常事態では,「前例や周りの人が言うことに唯々諾々と従うことがただ一つの道ではないということを強調しておきたい」。2024/02/19