内容説明
本書は、前著『読む―時代の風景342冊』(TBSブリタニカ、1992年)の続編である。たまたま書評の仕事をするようになって、あっという間に時間が過ぎてしまったが、そのつど読んだ本を一緒に並べてみると、一冊だけでは分からない時代の風景のようなものが見えてくる。六年前の書評集を、『読む―時代の風景342冊』というタイトルにしたのは、そうした気持ちを込めてのことであった。今回のタイトル、『読む―時代の風音』も、同じ趣旨による。その時々の世の中の動きを読み解く鍵を与えてくれたのが本であったし、新聞を賑わした社会的スキャンダルに気が滅入ったときに元気と楽しみを与えてくれたのもまた本であった。
目次
1 書評(野口悠紀雄『バブルの経済学』―バブルの影響は果して「限定的」か;M・シェンバーグ『現代経済学の巨星(上・下)』「過剰な」数理化に疑問
丸谷才一『女ざかり』「贈り物」に満ちた日本社会の呪術性 ほか)
2 論壇時評(「勝利?」した資本主義の内実を問う(1992年上期)
「複合不況」論をめぐる攻防(1992年下期)
マルクスを自由に読む季節(1993年) ほか)
3 エッセイ(ケインズ没後50年;木を見て森を見ず;星座と既得権益 ほか)