内容説明
「世界平和」とは、結局は諸民族の共存・協力である。どのような問題を、どのように解決すれば、それは可能なのか。著者たちの研究チームは、こういう問題意識を共にしたものによって作られた。本書の構成は、対象とされた地域が地理的に身近な所から離れた所へと展開する形をとっているが、それは問題が離れているということではない。問題は、「民族」の名によって少数者が差別・疎外・抑圧される構造はどうして生まれるのか、どうすればこの問題を解決することができるのか、という問題である。
目次
「ウチナーンチュ」とは誰か
二十一世紀の「在日」アイデンティティ―「関係性」のあり方
少数民族の思想/現実と理想の間で―一九二〇年代の「トランシルヴァニア主義」の動向
ドイツにおけるエスニック・マイノリティ
問われるジャコバン共和国―フランスにおける共和主義と多文化主義
われらが生みだしたる憎悪―国家間民族紛争への非決定論的アプローチ
民族問題は人類のアポリアか?―ローザ・ルクセンブルクの『民族問題と自治』をめぐって