出版社内容情報
第1次世界大戦勃発により第2インタナショナルが事実上「崩壊」したあと起こった国際反戦のツィンメルヴァルト運動からコミンテルン創設直後までの国際社会主義運動の一大再編過程を,複数のオルターナティヴ(選択肢)をもっていた過程として捉え,とりわけ社会主義左派がめざした「インタナショナルの再建」は,果たしてロシア10月革命を背景としたコミンテルン創設によって実質的に実現したのであろうか,を問う。その帰趨を見極め,なぜ,どのようにしてそうならなかったか,を旧ソ連文書館史料等の第1次史料を駆使して実証的に解明する。
内容説明
本書は、第1次世界大戦勃発による第2インタナショナルの機能停止を機に国際反戦をめざして起こったツィンメルヴァルト運動からコミンテルン創設直後までの国際社会主義運動の一大再編過程後半期の国際社会主義史の実証的な研究である。そこに、「世界を股にかけて旅する人」に因んだ偽名を一時使用することになるほど国際的に活躍し、その延長線上にコミンテルン創立大会に出席したオランダ社会主義者リュトヘルスに着目した「下から」のインタナショナルな「関係史」のケイス・スタディを織り込み、戦争と平和、そして革命の時代におけるインタナショナルの再建の模索とその終焉を描き切る。
目次
第1章 訪露後のリュトヘルスとインタナショナリストの活動
第2章 ソヴェト・ロシアによるコミンテルン創設前史
第3章 コミンテルン創立大会
第4章 コミンテルンの初期活動
第5章 コミンテルン・アムステルダム・サブビューローの残された問題
終章 第3インタナショナルへの道の「終焉」
補章 コミンテルン・パンアメリカン・エイジェンシーの活動資金問題
著者等紹介
山内昭人[ヤマノウチアキト]
1950年長崎市生まれ。1977年京都大学大学院文学研究科博士課程中途退学(西洋史学(現代史学)専攻)。京都大学博士(文学)。現在、宮崎大学名誉教授。九州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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