内容説明
「長崎県長崎学アドバイザー」である著者が、長崎・天草の潜伏キリシタンの里を訪ね、史料をもとにその魅力と知られざる歴史を分かりやすく解説。「浦上一番崩れ」に関する新知見も紹介。世界遺産ガイドブックやバーチャルな史跡探訪書としても最適な一冊。
目次
序章
第1章 キリスト教の伝来から鎖国体制成立まで
第2章 「潜伏」から「かくれ」へ―平戸島・生月島を中心に
第3章 人・モノが行き交う外海地方のキリシタン集落
第4章 天領・浦上村のキリスト教史と天草崩れ
第5章 五島列島と黒島の地勢とキリシタン集落
終章
著者等紹介
本馬貞夫[ホンマサダオ]
山口大学文理学部国史専攻卒、長崎県立高等学校教諭、県立長崎図書館副館長兼郷土課長、長崎県参与などを経て、現在、長崎県長崎学アドバイザー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みみりん
2
潜伏キリシタン関連遺産という名称は知っていた。昔天草を旅行したときに教会を外から見たことがあった。遠藤周作「沈黙」でキリシタン弾圧について少し知ったが、江戸、明治と信仰が続きこんなに酷い拷問や迫害が続いていたことは知らなかった。それでも信仰が続いていたことに驚いた。日本で起こってきたことで知らないことが沢山ある。2021/02/13
しいら
0
昨年末から少しずつ読み進めた本 やっと読了 世界遺産になる前に、島原を訪れた際に浦上天主堂に行った.もちろん戦後建て替え後のものだけれど。 中日新聞に連載記事が載り、まとめて読みたいと思い、書籍化され購入。隠れキリシタンの苦難を深く知る事ができた。 またオラショは動画配信などで視聴も出来て、現地になかなか行けないが、読書の助けになった。2022/01/04
えぬざき
0
新聞連載記事をまとめた、筆者曰く『「広く浅く」に多少の好奇心を加えたような内容』の本とのこと。しかしながら、とんでもない量の郷土資料、先行研究、そしてフィールドワークに裏打ちされており、それらが端的に整理されて一冊の本で読めることに思わず感謝してしまうような、そんな良著である。特に勉強になったのは、地域間におけるカクレキリシタンの文化の差異である。地域ごとの記事において、オラショや天地始之事などの特筆すべき信仰形態や、背景にある地理・地域史の概略、信仰史上の出来事がセットになっているため、(続く)2021/06/08
Tsuneyuki Hiroi
0
尊敬する本馬先生の著書とあっては読まねばなるまいと手に取った。わかりやすさと奥深さを兼ね備えた良書である。 本馬先生の業績は、歴史学の通説を凌駕する。何よりも、長崎という視点に重きを置いた歴史観は、長崎で学ぶ者にさらなるモチベーションを与えてくれる。 幸運にも私は、長崎、上五島、大村、平戸とキリシタンに関連する地域ばかりに居住してきた。特に上五島の地域については、一つの集落が一つの姓の人たちで構成されているのを目の当たりにしてきた。彼らが、外海からの移住の子孫であることを確認できたのは大きな収穫である。2021/03/07