内容説明
子どもは仲間集団を通して青年へと成長していく。友情と忠誠心、仲間からの人気とグループ内の序列付け、リーダーの支配と取り巻きの追従、集団内の闘争、いじめられたり仲間はずれにされたりした子どもの悲哀、互いに反発し距離を取りながらも、やがては魅かれゆく少年と少女…。戸惑い揺れ動きながらも成長を遂げていく子どもたちの社会的世界を8年間に及ぶ参与観察により解明する。子ども観の変容を迫る画期的労作。
目次
第1章 研究者としての親
第2章 人気
第3章 クリーク“仲間集団”のダイナミックス
第4章 クリーク“仲間集団”の階層化
第5章 放課後の活動
第6章 友人関係(1)―「親密な」関係と「軽い」関係
第7章 友人関係(2)―限定された関係
第8章 異性関係(1)―初期と中期
第9章 異性関係(2)―後期
第10章 全体のまとめ
著者等紹介
住田正樹[スミダマサキ]
慶應義塾大学文学部卒業(社会学専攻)、東京大学大学院教育学研究科博士課程退学(教育社会学専攻)、九州大学名誉教授・放送大学名誉教授、教育学博士。専攻:教育社会学、発達社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Go Extreme
2
子どもの仲間文化の研究 パースペクティブ 社会心理学的枠組み 子ども期・四次元 研究者としての親:役割位置の選定 役割関係 理的問題 人気:影響を与える要因 クリーク・仲間集団のダイナミックス:包摂の技術 排除の技術 クリークの階層化:地位のヒエラルヒー アイデンティティ・ヒエラルヒー 放課後の活動:自発的 娯楽的 競争的 エリート的 友人関係 異性関係: 性の統合・初期 性別分離・中期 異性へのアプローチ 拒否 デート 仲間の反応 密かに想う まとめ: 前青年期の特徴 遊び、ゲーム、仕事 仲間の力2019/09/08
大久保遥
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子どもの学校内集団を丹念に描いたエスノグラフィ。集団内ヒエラルキー、内集団の強化や排除過程、放課後活動、友人関係の差異、異性関係の芽生えや展開過程、ジェンダー差異といった実に多様な側面から丁寧に記述されている。重要なのは、これらの子どもの行動にみられる葛藤や日々の戦略は、子どもの世界内部の相互行為で独自に展開されているものではなく、あくまで大人文化との関係の中でつくられ、変容しているとの指摘。誰もが子ども期に経験した、日々目まぐるしく展開する人間関係を思い出すと同時に、その研究意義を感じさせる本だと思う。2023/01/22