出版社内容情報
現代は,人間と自然,生命などをめぐって多くの困難な問題が山積している時代である。しかし,そうであればこそわれわれは,問題の歴史的かつ本質的な根源に遡って,「人間・自己とはそもそも何か」,「自然ないし自然・本性とは何か」ということについて根本的に問い直してゆくことが必要であろう。本書は,西洋精神の礎であり支柱である教父たちの文脈に即して,人間,自然そして神をめぐる主要なテーマを重点的に吟味し探究したものである。アウグスティヌスと東方教父との両者を視野に収め,それぞれに特徴のある,しかも同根源的な「愛智の営み(哲学)」=「神への道行き」の姿を一書において論じている点,従来にない画期的なものである。こうした書は,混迷を深める現代に新たな知の地平を開くよすがとなりうるであろう。専門書としても一般人向けの書としても,小さからぬ価値を有している。
目次
教父の伝統の指し示すところ―無限なるものへの眼差し
第1部 アウグスティヌス(出会いと驚き―探究の基本のかたち;確実性の問題―うちなる超越;記憶と自己;時間と志向―精神の発見 ほか)
第2部 東方・ギリシア教父―ニュッサのグレゴリオスと証聖者マクシモス(愛の傷手;神名の啓示と自己超越;自由と善;情念、罪、そして自己変容 ほか)
著者等紹介
谷隆一郎[タニリュウイチロウ]
1945年、岡山県生まれ、神戸に育つ。1969年、東京大学工学部卒業。1979年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。九州大学教授を経て、九州大学名誉教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。