内容説明
沈みゆく国で語った、国家・宗教・憲法・戦争・言葉・教育…そして希望!待ったなしの現場で、あえて広げる思想の大風呂敷。日本をとりまく喫緊の課題について、情理を尽くした講演の記録。日本人よ、目覚めよ。
目次
1 資本主義末期の国民国家のかたち
2 これからの時代に僧侶やお寺が担うべき役割とは
3 伊丹十三と「戦後精神」
4 ことばの教育
5 私が白川静先生から学んだこと
6 憲法と戦争―日本はどこに向かうのか
付 SEALDs KANSAI京都集会でのスピーチ
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年、東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。凱風館館長。神戸女学院大学文学部名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』(新潮新書)で新書大賞2010受賞。第3回伊丹十三賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とよぽん
36
「資本主義末期の国民国家のかたち」、「ことばの教育」、そして琉球フォーラム講演「憲法と戦争 ー 日本はどこに向かうのか」が鋭く、響いた。特に「国語力とは、自力で言語を豊かで多様で、味わい深いものに変成してゆく力のことです。」という根幹を述べた文が印象的だった。そして、私たちの母国語である日本語を、2千年以上前からこの列島に住んで来た人々の思いを蓄積したアーカイブなのだ、という話にも、なるほど! と思った。心して国語の授業をしなければ。2017/09/30
けんとまん1007
34
独特の位置を占める内田先生。以前から、何冊も著作を読んできた。すべてに納得ということではないが、その基本的な視点・姿勢には学ぶものがある。今のこの国には、必要な視点だと思う。身体と思想。弱者への視線。机上でものごとを考え、決める人への反論でもあると思う。2018/01/24
tokko
33
この講演録にも内田先生がこれまでどこかで述べた知見が見られます。内田先生はこれまでに述べてきたようなことを、繰り返し情理を尽くして(場合によっては別のテーマでも)お話しされます。そうすることによって「内田論」が重層的に堆積されていくようです。読むたびに新しい情報が見られる本よりも、内田先生の本のように「あの考え方は、この問題にも言えることなのか!」という発見の方が僕は面白いです。身にしみた言葉は「読書百遍義おのずからあらわる」、読んで今ひとつ意味がわからなかった本をうっちゃるのはダメですよね(反省)2017/08/26
hk
23
「ああ、そういう風に繋がるんだ!得心入った」 内田樹氏の著書は都合20冊ほど拝読しているが、本書を一読してようやく上述した感想を持つに至った。一を聞いて十を知るならぬ、十を聞いて一を知る鈍重なオイラだ。そんなオイラでも本書でようやく一皮むけた(気がする)。「対米従属を通じた対米自立戦略の有名無実化」 「政治の株式会社化」 「母国語話者だけが新たな語彙やレトリックを発明出来る」などなど。 それぞれのトピックは既存書で幾度となく語られてきたおなじみの内田節だが、本書を読めばこれらが有機的に繋がっていくはずだ。2017/11/07
ねこさん
21
論理性を必要とする投げかけに、あえて場に予測できない波を立てるように、タイムラグなく返答をすることがある。例えばプレゼンでただ企画書を読んでも伝わらない(国会答弁ではよく見かけるけど)。それより、どんな葛藤を経巡ってその表明に至ったのかを意図と偶発性の狭間で語る方が、相手も表情や言葉で答えてくれる。『日本の覚醒のために』を読んでいる最中は特に内田さんが示している話し手の身体、そこら発せられる言葉の印象によってある語り方が許され、シンクロする自分が予見されて、対話性が生まれやすくなっていたような気がする。2017/08/08