内容説明
ホッブズからヘーゲルまで、国制理論の新・解説。
目次
第1部 近代立憲主義のふたつの流れ―合理主義と伝統主義(啓蒙思想のふたつの流れ;啓蒙思想の源流―ホッブズ理論;啓蒙思想の発展―J.ロック理論;啓蒙思想の転回点―J.ルソー理論 ほか)
第2部 立憲主義の転回―フランス革命とG.ヘーゲル(「国家/市民社会」のゆらぎ;いくつかのリベラリズム;わが国嫡流憲法学の特徴;近代自然法論の特徴 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさにい
4
グーテンベルグの印刷機の発明により宗教改革が起こり、ひいては宗教戦争につながる。その終息を目的としてホッブス・ロックの社会契約論が出てきたと考えてもいいのだろう。PCとインターネットの普及という現象は、必ず社会変革をもたらすと思われる。これに対応する憲法を考える必要はある。この本は、いつまでも昔の理念によって現憲法を考えることに対しての警鐘を鳴らすものであると思う。では、どのように考えるのかは、読者各自に委ねれれている。僕自陣は、平等権の人権性は他の自由権とは性質が異なると思う。ここから考えて行きたい。2020/07/18
ステビア
3
これも良著。勉強になる。2013/11/05
ぽん教授(非実在系)
2
憲法学の立場から西洋政治思想を振り返る、という内容である。憲法学者が言いがちな人権・人民・人民主権・直接民主制・自然権といったキーワードに対してかなり懐疑的であり、経験を積み重ねていった国制を良しとする姿勢を貫く著者は、自らを異端と自認するだけはある。 頭で作ったイデオロギーに基づく道徳律としての法・国家というルソー的な姿勢を排除する著者の主張は大いに納得するが、昨今の金融危機などを見れば市民社会が完全であるわけでもないようにも思えるのでそこは疑問を挟み込みたい。とはいえかなり考えさせられる好著である。2013/04/23
スズキパル
1
人間本性に基づく自然権と社会契約を中心とした大陸合理主義啓蒙に異を唱え、人々の相互依存のシステムとしての市民社会を人間本性とは異なったアプローチから正当化したスコットランド啓蒙を参考にしながら、近代立憲主義を再検討。ルソーの社会思想を「国家による人間改造の発想」として批判し、人間の理性への信頼や人民主権が全体主義に結びつく危険性を重ねて指摘していた。ヘーゲルを引用しながら市民社会に対する国家の外的な性質を強調しているのは面白かったが、市民社会における材の交換システムに対する批判的な視座が弱かったように感じ2013/08/09