感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kanki
19
苦痛を、理解できて、コントロールできる苦痛に変える効果がある、一時的だが。2022/06/02
ころこ
19
実は、本書は自分自身のためでもあります。私は、読書依存症であり、食事依存症であり、昼寝依存症であったりします。薬物依存症の当事者からは、お叱りの言葉を受けそうです。「自己治療仮説」では、心理的な痛みが依存症や嗜癖行動を促し、なぜか他では得られない安らぎをもたらすことで、そのような行動に頼ってしまうというモデルを提示します。つまり、不安や緊張などの居心地の悪さを解消するために、人間はいつものパターンを繰り返すことで回復するという、実はごく当たり前のことをいっているに過ぎません。本書では、エビデンスではなく、2018/03/02
ゆいまある
15
アルコールや中枢神経刺激薬などが、鬱やPTSDなどを改善させる効果があり、(そうとは気づかず)自己治療の為に使われるということは、精神科臨床に携わっている人なら多分気づいていることで(鬱とアルコールの関連など)、刑罰を重くするだけでは解決に向かわないということはもっと広く知られていいことだと思う。松本先生が他の所でも書いてらしたと思うけど、物質依存や嗜癖行動は「苦痛」への依存でもあるということ。ほんまそれ。慢性的な死への願望なのか。「痛み」は現実の苦痛を遠ざけてくれるのか。興味深い。2018/02/17
Yasutaka Nishimoto
8
自己治療仮説という概念を知ることができた。辛いこと、欠けたことなどを埋め合わせるために選んだ物が、その対象者に対してどう働くか。30年前に提唱されたことであるが、ストンと入ってくる。それが人間関係という複雑な部分に対しても埋め合わせに使われるのであれば… また、止めた後も脆弱性が残るというところが分かりやすかった。2017/08/09
Baron
6
本書では、依存症というものは快楽を得るためでなく、心の傷を癒すための 行為だと考察している。 また、同じ物質や行為を繰り返しても「ハマる人」と「ハマらない人」がいるのはなぜなのか?などといった疑問について、脳科学や行動分析の立場から詳細に紹介してある。 この本は、依存症本人のみならず、家族や支援者にも読んで欲しい一冊だ。 とにかく依存症というのは「分かりにくい病気」である。人格の退行が進んでいる依存症者と関わる上で、表層的な事象に囚われていては、支援者が陰性感情に囚われてしまって本質を見失う恐れがある。2015/02/22