内容説明
「永遠の少年」とは、ユング心理学で重要視される元型のひとつである。少年らしい可能性や魅力を持っているが、現実と向き合っていく大人になることのできない人間像の元型で、すべての人が心の底には、これをもっている。なかなか面白いセンスをもっていて、何かの加減で急に熱心に新しいことに取り組むのだが、長続きさせてやり抜くことができない。本書には、そのような「永遠の少年」を父親として持った娘が、どのような悩みや苦しみをもって成長してくるかが、具体的に描かれている。十四歳の少女から六十四歳の女性まで、年齢の異なる六人の女性が、「永遠の少年」型の父親を持ったために味わう人生の哀歓がつぶさに述べられる。もちろん、それには悲しみや苦しみが多いのだが、そのような父親のもつ言い難い魅力というものも、うまく記載されている。
目次
序章 本書のなりたち
第1章 久留実(十四歳・中学校二年生)
第2章 百合子(十七歳・高校二年生)
第3章 巣枝(二十一歳・大学三回生)
第4章 花純(三十四歳・主婦)
第5章 茅乃(四十二歳・無職)
第6章 桐子(六十四歳・自営業)
終章 おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まいこ
2
年齢に不相応な純粋さ、妙な真面目さ、同年代同性とうまくいかないぎくしゃくした感じ、不器用さ。登場する「永遠の少年の娘たち」の生きづらさに共感してしまう。虐待や犯罪やアウトローとは無縁でも、本人が生きるのがいかに大変か。それはきっと「永遠の少年」も同じなのだ。未熟な親、母親に執着した親のもとで育った娘たちは親の課題を背負って生きる。2014/07/20
ᚹγअәc0̸א
1
永遠の少年としての夫に散々苦労させられた妻が、自らの息子を永遠の少年として世代再生産してる業的プロセスが示されてて有難い。 グレートマザー元型との呪詛的相補性が味わい深い。
さくら🌸
0
身の回りにも居るのかしら?2008/05/23